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低速トルクはブーストアップ、高回転域はタービン交換に軍配が上がる!
ブーストアップとタービン交換仕様を比較
ロータリーを手掛けて30年以上という長い歴史を持つ“RSパンテーラ”。研究熱心な人柄で知られる代表の佐藤さんは、これまで様々な仕様のFD3Sを手掛けてきた。近年では20Bベースの3ローターNAユニットを換装するプランをコンプリートメニュー化するなど、チューンドロータリーの楽しみ方を様々な方向性から提案している。
ここで紹介する2台のユーザーチューンドは、そういった意味では非常にスタンダードな仕様だ。いずれも6型ベースでエアポンプ付きの完全合法ストリートスペック。同社の豊富なノウハウにより、末長く乗り続けられるマシンに仕上げられた。
まずイエローの方は、純正タービンのブーストアップ仕様だ。燃料ポンプをサードの275L/hに変更した上でパワーFCによる現車合わせセッティングを行い、最大ブースト圧0.9キロ時に340psを発揮させている。
クーリングパーツはHKSのRタイプインタークーラーVシステムとDRLの薄型2層式ラジエターで武装。吸気温度まで含めた冷却系統の強化は、全開走行を目的とするロータリーチューンの必須項目のひとつだ。
エキゾーストマフラーはRE雨宮のドルフィンテール。心地良いロータリーサウンドが魅力の定番アイテムだ。
足回りはオーリンズ車高調(F12kg/mm R10kg/mm)を軸にセットアップ。ホイールはエンケイGTC01の17インチで、これにハンコックのヴェンタスRS-3を組み合わせる。
対してグレーのスピリットRの方は、TO4Sシングルターボ仕様となる。耐久性を重視して、タービンのエキゾーストハウジングに独自の加工を施しているのもポイントだ。
イエローのFD3S同様、この車両もHKSのRタイプインタークーラーVシステム&DRLラジエターを導入してクーリングパートを強化している。
エンジンマネージメントはF-CON Vプロが担当。最大ブースト圧0.85キロ時に360psをマークするスペックだ。
足回りはHKSのハイパーマックスMAX IV車高調でセットアップ。ホイールはアドバンの18インチで、外装はあえてのノーマルバンパー仕様。ブレーキチューンも抜かりなく、ブレンボの6ポットキャリパーに330mmローターという組み合わせで強化済みだ。
両仕様のパワーグラフを比べてみると、それぞれの特性の違いがよく分かる。最高出力こそ大差ないものの、低速トルクの立ち上がりの良さはブーストアップ(赤線)の方が早く、3200rpm付近でピークトルクを引き出している。ただし、中高回転域での伸びはTO4Sタービン仕様(緑線)に軍配が上がる。また、純正のシーケンシャルツインターボはセカンダリーが動き出す4500rpm付近でどうしても谷間が発生してしまうが、TO4Sタービン仕様は低い領域からフラットにパワーが立ち上がっている。当然ながら、この差は走りに直結することが言うまでもない。
パワー特性の違いについてRSパンテーラ佐藤代表は「13Bはチューニングやセッティング次第でパワー特性が大きく変わります。この2台の場合、最高出力は近いですけど、体感的な速さはやはりTO4Sシングルターボに軍配が上がります。それと、純正のシーケンシャルは配管が複雑でトラブルも増えているので、最近ではトラブルの芽を摘む意味でシングルターボ化に踏み切るユーザーが多いですね。もちろん、TO4S以外にも相性の良いタービンはあるので何でも相談してください」とのこと。
走るステージや予算を吟味して自分に合った仕様を選びたい。経験豊富なRSパンテーラなら、理想の1台に仕上げてくれること請け合いだ。
●取材協力:RSパンテーラ(佐藤商会) 静岡県富士宮市北山5220-2 TEL:0544-58-4837
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佐藤商会
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