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実車とミニカーで2025年を席巻予定!?
純正5速ミッション仕様でアッサリと57秒台をマーク!
RE雨宮と言えば、言わずと知れたロータリーチューニングの第一人者だ。そんな同社が来季のタイムアタックシーンに向けて開発を進めているのが、今回紹介する『POP RACEコラボ・RE雨宮タイムアタック号13Bターボ』である。
そのネーミング通り、このFD3Sは世界的なモデルカーメーカーとして知られる“POP RACE(ポップレース)”とのコラボレーションで誕生したマシンだ。東京オートサロン2025で一般公開した後、実車とミニカーの両ジャンルでメディアミックス的に展開していくという。
このFD3Sを製作するにあたってRE雨宮が追求したのは軽さだった。目標は1トン切り。そのため、リヤゲートやドアパネル、GTウイング、ボンネットといった大物はドライカーボン製を採用。さらに各部の徹底したシェイプアップによって、車重は約900kgを実現したというから恐れ入る。
その他、内外装のあらゆる箇所には肉抜き加工を施し、エンジンハーネスもサーキット専用前提でギリギリまで間引いた。もともと軽量設計のFD3Sを200kg以上軽くするというのは、こうした作業の積み重ねが必要だったというわけだ。
快適装備の類が撤去された超スパルタンなコクピット。ミッションをあえて純正5速としているのもポイントだ。
燃料タンクは純正を廃し、軽量化と重量配分の適正化を考えて安全タンクをリヤシート位置に移設。リヤゲート内もスペアタイヤ部分を撤去して完全フラット化されている。
一方のエクステリアは、D1ワイドボディキットをベースにタイムアタック仕様にアレンジしたものになる。クラッチはORCメタル、デフはOS技研スーパーロックLSDのRE雨宮スペシャルだ。
心臓部の13B-REWは、JPターボのB640Xを使ったシングルターボ仕様となる。エンジン内部に関しては、耐久性重視でセラミックのアペックスシールを組み込んでいる程度でポート形状は純正サイドのまま。サーキット専用のため、エアコン&ヒーターは全て撤去。制御にはLINKフルコンを採用し、最高出力はブースト1.15キロ時に450psを実現している。
インタークーラーとラジエターは一般的なV字マウントとはせず、インタークーラーを水平に配置して、その下部にラジエターを傾斜させてマウント。これは、RE雨宮のタイムアタックマシンにおいて昔から採用されているレイアウトだ。なお、インタークーラーのコアはCX-5純正をふたつ合体させて使っているのがポイント。「市販品と比べて、このコアすっごく軽いんだよ」とRE雨宮の雨さん。軽さに拘っての選択というわけだ。
リヤフォルムも特徴的。フロアのフラットボトム化も考えたが、筑波サーキットというステージに限定するなら、グランドエフェクト効果のメリットよりも金属パネル類を加えることでの重量増加というデメリットの方が大きいと判断して採用を見送ったという。マフラーはフルチタンのドルフィンテールを奢る。
サスペンションはジールファンクションRE雨宮スペシャル。ブレーキ系はマスターバックレス化した上でエンドレス製キャリパーキットに変更され、タイヤは試作のシバタイヤR50(295/30-18)を前後に装着する。
このマシンを筑波サーキットで走らせた谷口信輝選手は「完全な初転がしでバランスもメチャクチャな状態だったけど、それでもやっぱり雨さんの作るマシンは速くて楽しいんだよね。アッサリと57秒8が出ちゃったもん(笑) タイヤはシバタイヤ新作だけど、これもかなり良い。ラップを重ねてもグリップレベルが安定していたし、一発も狙える。ここから空力や足回りをきっちりと煮詰めていけば、一気にタイムアップすると思う」と評価。
一方の雨さんは「まだ出来立てホヤホヤ状態なんだけど、結構良いタイムが出ちゃったね。シバタイヤさんのおかげかな(笑) 今後はフロントにディフューザーを追加したりウイング位置を下げたり、色々とモディファイしていくつもり。目標は54秒フラットかな。ちなみに、今回のラッピングは東京オートサロン2025用のスペシャルで、3月くらいに新しいデザインで張り替え予定なんだ。どんどん変化していくデモカーを楽しみにしててよ!」と熱く語る。
ロータリーチューンの神様とも呼ばれる男が本気で開発したサーキットスペック、今後の進化と熟成が楽しみで仕方ない。
PHOTO:金子信敏
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
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