「全日本ジムカーナ選手権でGRヤリスがシリーズチャンピオン獲得!」タイムアップの秘訣は足回りにあり

チャンピオンの茅野選手は7戦中3戦で優勝!

ランエボからの乗り替えで悪戦苦闘!?

コロナ禍の影響により、延期されていた第2戦(エビスサーキット)が最終戦となった全日本ジムカーナ選手権。そんな波乱のシーズンで、GRヤリスがシリーズチャンピオン(JG5クラス:2.0Lターボの4WD車両が参戦できるクラス)に輝いた。

ドライバーは愛知県在住の茅野成樹(かやの しげき)選手。この道35年オーバーのスペシャリストで、これまでに11度のチャンピオン獲得経験を持ち、今シーズンの結果でその戦績を12に伸ばした。

しかし「去年まではランエボに乗っていたのですが、GRヤリスはセンターデフのない4輪駆動車なのでセッティングや走らせ方など…色々と試行錯誤してようやく方向性が見えたかな、というところです」と、悪戦苦闘のシーズンだったそうだ。

レギュレーションの関係上、パワーチューニングはご法度。そのため、エンジンは吸排気までノーマルのままとなっている。パワートレインの変更点は、エンジンマウントとクラッチの強化。クラッチはエクセディが2022年の発売を予定している試作品で、ミッションの負担を軽減できるダンパー付きのメタルプレートディスク&カバーを装着。LSDはクスコの1WAYだ。

足回りはKYBの車高調を軸に構築。「初戦はフロント18kg/mmのリヤ7kg/mm。その後、セッティングを繰り返して最終戦ではフロント14kg/mmのリヤ15kg/mmにしました。GRヤリス勢は、大体この辺りのバネレートに落ち着いているみたいです」と茅野選手。

ダンパーの減衰力も試行錯誤を繰り返し、最終戦直前にフロントを思い切って柔らかくする方向でセットアップ。これが見事にハマり、タイトターンでのツッパリ感が大きく軽減されてタイムアップに繋がったそうだ。

キャリパー&ローター交換は認められていないため、パッド&インナーシューのみウィンマックスの製品に変更。フロントパッドはR4、リヤパッドはR7、インナーシューはRS2をチョイスしている。

ホイールは18インチのボルクレーシングTE37SAGA(F9.5J+30 R8.5J+42)で、タイヤにはダンロップのディレッツァβ10をセット。サイズは純正よりも幅広の235/40-18を組んでいる。

シートはブリッドのゼロで、ステアリングハンドルにはタニタの350Φをセレクト。ダッシュボードにはジムカーナ車両では珍しい反射防止シートを貼っている。

また「アクセルとブレーキが離れていて空振りしたりヒールアンドトゥがやりにくかったので…」と、アクセルペダルにスライドタイプのカバーを装着して対策していた。

外装は派手なグラフィック以外、純正をキープ。ただし、ホテルから会場までの自走区間で飛び石等によるガラス割れを防止するため、ニュープロテクションのカーフィルムを九州のアネストで施行してもらったそうだ。

2022年の体制はまだ決まっていないものの「デフのセッティングやアライメントとか…足もまだまだ詰める余地がありますし、もっと良い走らせ方もあると思うので、そこを煮詰めていきたいですね」と茅野選手。競技シーンでも頭角を現しはじめたGRヤリス、今後のさらなる躍進に期待大だ。

取材イベント:全日本ジムカーナ選手権第2戦エビス
TEXT&PHOTO:山本大介(Daisuke YAMAMOTO)

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