「日本車を愛する熱きアメリカ人達に注目」カリフォルニアのJDMイベントに潜入取材!Part.2

ジャパニーズクラシックカーショー(JCCS)2021潜入レポート Part.2

毎年アメリカのカリフォルニアで開催されている、ジャパニーズ・クラシック・カー・ショー(JCCS)。2021年は開催場所を従来よりも広いアナハイムのエンゼル・スタジアム(野球場)に移し、規模を大幅に拡大。エントリー台数は600台オーバーと、例年を上回る活況を呈した。Part.1に続き、最新のJDMスタイルをホイール中心で紹介していく。

マツダ・RX-7(FD3S)

ラッピングによる鮮やかなパープルカラーが眩しいこのFD3Sは現地の有名チューンド。13Bロータリーを捨て去り、2002年式コルベットのLS1エンジンを心臓部に搭載したV8マッスル仕様だ。

フジタエンジニアリングのワイドフェンダーに収められたホイールは、ブリッツがかつて販売していた「BRW03」。個性を求めてフルポリッシュ仕上げとしているのもポイントだ。日本国内での人気再燃につられる形でアメリカでも価格高騰が進んでいるそうだ。

ホンダ・シビック(ED6)

日本国内で「グランドシビック」と呼ばれた世代の北米仕様“ED6”型を発見。エンジンは定番のB16A換装仕様だ。外板や灯火類を日本仕様に近づけるJDMカスタムも、西海岸のホンダ乗りで流行っているスタイルと言える。

足元には日本国内でも極めて珍しい「ウォルターウルフレーシング」を投入。80年代初頭にブリヂストンがライセンス契約して生産していた本物をベースに、センター部は結晶塗装、外周部は美しく磨き上げることで、絶妙なレトロフューチャー感の演出に成功している。

ダットサン・ロードスター(SPL311)

1965年にデビューしたSPL311。Zの付かない2代目フェアレディの輸出バージョンだ。

ベースモデルのS310型は1962年にデビューし、第一回日本グランプリでクラス優勝を果たすポテンシャルを持っていた。そして派生モデルのSPL311は、世界のライトウエイトスポーツをリードする高性能。トライアンフやオースティン、MGなどを凌駕する性能にコストパフォーマンス良さが重なり、北米市場で高い評価を得たのだ。

そんな往年の名車に、S14シルビアのSR20DETエンジンを換装したスワップチューンドがこちら。オーバー300馬力の出力に耐えられるようボディや駆動系をくまなく強化しつつ、ワイヤータックやシェイブドベイなど最新のカスタムテクニックも投入。究極のレトロフィットを目指したわけだ。

ホイールは16インチの「ワタナベエイトスポーク」をセレクト。近年、ワタナベは海外に販路を拡大しており、JDMモデルとして憧れを抱いていた多くのクルマ好き達から絶大な支持を集めているのだ。

ニッサン・240SX(S14)

シルビア/180SXの北米仕様である240SXは、彼の地でも走り屋グルマとして人気が高い。しかし、北米仕様が積むエンジンはKA24DEで、排気量こそ日本仕様が積むSR20に勝るが、とてもスポーティなエンジンとは言い難いスペックだった。

そこでアメリカの240SX乗り達は、こぞって日本からSR20DETを取り寄せてスワップを行い、パワーを追求。最近はコルベット等に搭載されているLS系のV8エンジンへ換えるのもポピュラーで、240SXは日本同様ドリフトやサーキット系ユーザーから熱い注目を集めるベース車両となっている。

その例に漏れず、JCCSで発見したこの240SXもLS3型V8エンジンを換装。6.2Lという大排気量ユニットを、スマートにエンジンルームに収めている。

ホイールは軽量・高剛性のニスモ「LM GT4」をチョイス。エクステリアは定番スタイルに則ったメイキングでありながら、エンジンはアメリカンV8。フロントフェンダーに貼り付けられたニスモ旧ロゴイメージの「6.2L LS3」というエンブレムまで含めて、独特の個性が光るチューンドだ。

カリフォルニアにおける日本車の輸入事情

近年、日本でも話題になっている通称「25年ルール」。ざっくり言うと製造から25年が経過した中古車はアメリカの自動車安全基準(FMVSS)の適用除外となり、アメリカに輸入しやすくなるという独自のルールである。R32型スカイラインGT-Rなど、アメリカでもマニア的人気を誇るレアモデルが、その規制の縛りから解かれ始めたことで、いわゆる並行輸入車として海を渡る個体が増えているのは事実だ。

だが、輸入できるかどうかと、州で登録ができるかどうかは別問題。JCCSで話を聞いたところ、カリフォルニア州で排ガス検査を受ける場合、検査機関に平均して7000ドル(高いと1万ドル)の費用を支払わなければならないそうだ。ただでさえ車両価格が高騰している上に、輸送などに掛かるコストも当然必要になるので、購入希望者には余程の覚悟と資本が要求されることになるわけだ。

●取材イベント:Japanese Classic Car Show 2021

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