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シェイクダウンながら好タイムをマークする完成度!
スーパーチャージャー仕様ではトップクラスとなる380馬力仕様
スバルのお膝元である群馬県にショップを構えて、今年で35年目を迎えた“カーステーションマルシェ”。そんな国内屈指のスバルエキスパートが、豊富なノウハウをフルに投入してパフォーマンスアップに取り組んでいるのがZD8系のBRZだ。

現行BRZ(GR86)もデビューから3年以上が経過し、先代モデルも凌ぐ豊富なパーツが揃っているが、それらを単に組み合わせるだけではないのがマルシェ流のマシンメイク。
まずは、ハイグリップタイヤの装着を前提としてベース車両を徹底的に解析し、ウイークポイントを対策しながらスポーツ走行に必要となるパフォーマンスの底上げを実施。ステップ1となるNAエンジンでのデータ取りが終了し、今回ついにHKSのGT2スーパーチャージャーキットを装着してチューニングプロジェクトはステップ2へと進むことになった。

スーパーチャージャーを装着してセッティングが完了したのは取材の約2週間前で、今回が新仕様でのシェイクダウンとなったマルシェBRZ。
エンジンルームでまず注目したいのが、HKSのコールドエアインテークだ。本来、スーパーチャージャーキットには対応していないため、ケースに小加工を施して装着。また、パワーを求めて吸気制限のリストリクターは取り外し、オリジナルのECUチューニングで制御。その結果、燃料系ノーマル状態でのスーパーチャージャー仕様としてはトップクラスとなる、約380psの最高出力を獲得している。

HKSスーパーマニホールドとスポーツキャタライザー、ハイパワースペックLⅡの排気系はNA仕様から変更はない。排気系パーツをそのまま生かすことができるのもスーパーチャージャー仕様のメリットだ。
足回りは、テインのフラッグシップモデルMONOレーシングにGR86/BRZワンメークレース用サスのM.S.Vバルブセッティングを融合したマルシェスペック車高調(30万9100円)でセットアップ。減衰力16段調整式で、デモカーのスプリングレートは前後10kg/mmの設定だ。


減衰力リモートコントロールシステムのEDFC5を組み合わせているのもポイントで、ジャーク制御という対角輪の減衰力調整により、伸縮独立調整式のようなセッティングを可能にしている。この他にも、フロントロアアームブッシュをトリプルエフェクトブッシュに、リアメンバーブッシュを“合体くん”にそれぞれ変更。さらにLSDをクスコRSベースのマルシェスペックとして、ハイグリップタイヤに合わせたサス&シャシーが完成する。

装着ホイールはボルクレーシングTE37 SAGA SLで、サイズは前後とも18×9.5J+45。組み合わせているタイヤはダンロップディレッツァのラリーターマック用の301R(前後245/40)で、テストではフレッシュタイヤを装着していた。


インパネまわりはほぼノーマルで、快適装備もフル完備。走行時には後席を外すなどの軽量化も行っていない。シートはストリートの使い勝手を重視して、ブリッドのストラディアIIIをセレクトしている。

このチューンドを筑波サーキットで走らせたレーシングドライバーの吉田広樹選手は「ベストタイムは1分3秒063でした。昨年のNA仕様ではパワーとシャシーのバランスが高くて気持ち良く攻めることができましたが、今回のスーパーチャージャー仕様はシェイクダウンということもあり、まだセッティング途上という印象。パワー感は全域で底上げされていますが、リヤのグリップが不足気味なのでそれをフルに活かせなかったのが残念です。タイヤ、サス、あるいはその両方が原因かもしれませんが、このパワーがあれば1分切りも十分に期待できそうです!」と評価。

一方、マシンメイクを担当するマルシェ坂本さんは「1分切りを目標としていましたので、今回のタイムは不本意。パワーに対してリヤ荷重が不足気味なのが原因で、筑波ではEDFCのジャーク制御もオフにした方が良かったかもしれません。次はアーム類のピロボール化や調整式アームを投入してリベンジします。車高調も、オリジナルスペックのHKSハイパーマックスRがまもなく完成しますのでご期待ください!」とリベンジに向けて闘志を燃やす。
もちろん仕様は変わっても「街乗りでの使い勝手は損なわずサーキットでタイムが出せる」というマルシェのストリートマシン作りの基本コンセプトは変わらない。今後もテストを重ねながらさらなるパフォーマンスアップを追求し、蓄積したデータをユーザーにフィードバックしていくというから期待したい。
●問い合わせ:カーステーションマルシェ 群馬県前橋市亀里町1224 TEL:027-265-6789
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カーステーションマルシェ
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