「令和のキャブ車はデジタル制御が最適解!?」旧車らしさを重視した最先端のAE86がこれだ！

公開日 2025/02/17
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著者 weboption

旧車の味わいに最新技術をプラス！

ソレックス＋最新フルコンという移植の組み合わせ！

4A-Gの吸気チューンと言えば、キャブと4連スロットルが二大定番。どちらを選択するかは好み次第だが、前者は原始的で機械的なクルマの楽しさを尊重し、後者はフルコン制御による現代的なチューニングを視野に入れた手法と言えるだろう。

だが、清水さんが所有する84年式のAE86型スプリンタートレノは、キャブにフルコン制御を組み合わせた珍しいパターン。以前、ウェブオプションで取り上げたAE86も同様の手法を採用していたが、何を隠そうビルダーが同一人物なのである。それが和歌山県で活躍するプライベートビルダー“イナズマワークス”こと池田将隆さん。

池田さんは日本におけるワイヤータックの第一人者であり、清水さんもそもそもはワイヤータックに興味を持ったところから池田さんに製作を依頼したのだそうだ。

「最初は以前に乗っていたEG6シビックでワイヤータックに挑戦したいと思っていたんですけど、友人の影響でAE86が欲しくなりまして。そこで、内装がほぼ残ってないドンガラに近いトレノを買って、イチから池田さんに製作してもらうことになりました」。

そう語る清水さんは、換装用のエンジンとして高圧縮＆ハイオク指定で知られるAE92型後期用の4A-Gを手配。ヘッドはポート研磨したAE86用を使用し、IN272度／EX264度のハイカムを組んである。

当初はOERのキャブとスロポジが取り付けできるインマニを使って、デスビの点火進角制御を採用しようと考えていたが、後にフルコン制御へと方針転換。キャブも長年の憧れだったソレックス44PHHに変更し、ヴィンテージな旧車っぽさを獲得した。

それに、スウェーデンのフルコンであるマキシスECUのスポーツECU、日産純正のダイレクトイグニッションを使った点火制御を取り入れ、新旧の技術が渾然一体となった仕様を実現させている。

以前取り上げたAE86は、クランク軸に備えた歯車からクランク角を検出するトリガーキットを採用していたが、清水さんのAE86はデスビの内部を加工する方法を選択。プラグコードが不要となるためキャップで覆い、すっきりとした見た目も実現している。エキマニに近いため、遮熱板も設けてある。ここからクランク角とカム角を拾って、電気信号をマキシスECUに供給している。配線を引き直した際には、カプラーを耐久性に優れ、抜き差ししやすいDTカプラーに交換してある。

燃料と空気はキャブ任せで、点火時期だけフルコン制御する方法は、例えるなら機械式腕時計の秒針だけをアップルウォッチのCPUで駆動しているようなイメージ。ある意味かなり贅沢な手段だが、キャブならではの味と見栄えを感じながら、抜群の始動性と回転の伸びを手に入れているのだ。

もう一方の見せ場であるエンジンルームは、イナズマワークス池田さんの真骨頂。セラコートなどで部品の色味を統一しながら、金属の地肌を見せる部分には磨きを掛けるなど細部にこだわり、芸術的な仕上げを実現させている。

例えばタイヤハウスはノーマルだと左右対称になっていないので、イナズマワークスでは必ず叩いて形状を整えている。エアコン／パワステ／マスターバックを省く一方で、ネジ一本から各部品の美しさにも配慮。二層式のラジエターはHPIのEVOLVE。

エキマニはパワークラフトのトルネードスペックを使用。フルデュアル構造の38φ2本出しテールマフラーはイナズマワークスのワンオフ。可変バルブを仕込んであり、音量調整にも対応している。

鉄板から作り上げるワンオフのフェンダーもイナズマワークスが得意とするパート。フロントの車高調には日正タイヤでワンオフしたキャンバー調整機能付きのアッパーマウントを備え、リヤはホーシングに1.5度のキャンバー加工を実施。

往年のアドバンレーシングA3Aの14インチを装着。ディスクはキクロンで地道に磨いただけだそうで、ブラッシュドっぽい質感が表現されている。ちなみに、A3Aは7J以上だとディスクに『ADVAN』だけでなく『RACING』のロゴも入り、密かな差別化ポイントになるのだとか。タイヤもアドバンのA539をマッチング。