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世界中のGT-Rファンがテキサスに集結!
2024年11月15日〜17日の3日間、アメリカのテキサス州にあるサーキット、テキサス・モータープレックスで開催された「GT-RフェスティバルUSA」。これまでオーストラリアのシドニーで開催されてきた「GT-Rフェスティバル」が、第二世代スカイラインGT-Rブームで盛り上がるアメリカに満を持して進出し、初の北米イベントを開催した格好だ。テキサスは「TX2K」というドラッグレースの一大イベントが開催されるでも知られ、そこで花形として注目を浴びるのがR35型のGT-R。全米におけるGT-R文化の震源地と言っても過言ではなく、25年ルールを過ぎた第二世代スカイラインGT-Rの数も指数関数的に増え続けている。「アメリカでGT-Rオンリーのイベントを開いて果たして何台集まるのだろう?」という外野の予想をあっさりと裏切られ、大いに盛り上がったイベントの様子を3回に渡ってレポートしていこう。
ガレージアクティブ製ボディキットで武装!


フロリダから駆けつけたホセ・ゴンザレスさんのBCNR33。アメリカで初めてガレージアクティブのR33用ワイドボディキットを装着した一台として注目を集め、エンジンから内外装まで徹底して手の入ったカスタマイズが評価され、ベスト・オブ・ショーが授与された。



ビレットブロックを使用するRB26をシングルターボでセットアップし、ドライサンプも採用。ロス・パフォーマンスのビレットカムカバーやミシモトのラジエターなど、一部のパーツをレッドで統一してエンジンルームのアイキャッチにしている。レーシーな機械式燃料ポンプと電子制御スロットルを併用するのが、会場に集まったハイパフォーマンス系によく見られたチューニングだ。トランスミッションはPPGのシーケンシャルを組んでいる。




ホイールは、アメリカンブランドのAL13がカーボンバレルと鍛造ディスクを組み合わせたCF-C005R。ディスクにはカスタムオーダーでNISMOのロゴとGT-Rの刻印も入れられている。内装もアルカンターラとポルシェ用のレザーで総張り替えされており、オールドスクールな雰囲気と大人っぽさを両立。
ドライカーボンRが本場のドラッグレースに参戦!

ガレージアクティブの坂本さんは、2023年のSEMAに出展したブルーのドライカーボンRをGT-Rフェスティバルに持ち込み、念願だと語っていたアメリカでのドラッグレースデビューを果たした。最初の練習走行でドライブトレインのパーツが壊れてしまい、いきなりアメリカの洗礼を受けたものの、急遽カリフォルニアから部品を取り寄せ、なんとか本番走行に間に合わせた。

目標にしていた9秒台を出すことは叶わなかったが、NHRAに準拠する本格的なコースコンディションをほぼぶっつけ本番で走って10.702秒の好タイムを記録し、マシンのメンテナンスを担ったグレッディUSAのチームメンバーとともに健闘を讃え合った。
ドラッグレース6秒台の超速GT-R!


地元テキサスのヒューストンにショップを構える、その名もザ・ショップ・ヒューストン。代表のマック・ブロスナンさんがドライバーも務めるR35はストックの鋳造ブロックを使用し、NOSも使用しないクラスで世界最速となる6.530秒(終速210.77mph=339.20km/h)という驚異的タイムを誇る。今回のイベントでも6.5秒台を連発したが、残念ながら記録更新とはならなかった。


テキサスでR35と言ったら、真っ先に名前が上がる有名ショップのT1レース・ディベロップメント。GT-Rフェスティバルにも複数台のマシンを持ち込み、パドックでも非常に目立っていた。

中にはチューブラーフレーム&FRのプロストックマシンもあったが、こちらの車両はギリギリでストックのエンジンルームとサスペンションをキープ。ドライバー兼駆動系パーツショップ“ShepTrans”代表のジョン・シェファードさんが強化型GR6トランスアクスルを開発する上で、T1レースとタッグを組んで作り込んできたマシンだ。T1レースで組まれた3.8Lショートブロックに特徴的なフロントマウントのターボマニホールドを装着。この日も6.9秒の好タイムを記録した。
RBチューニングの可能性を示すBNR32



GT-Rフェスティバルのホストを務めるMotive Videoがプロジェクトカーとして製作しているR32スカイラインGT-R、通称「JETRH9」。イベントの冠スポンサーであるオーストラリアのPRP(プラチナム・レーシング・プロダクツ)のパーツやギャレットG45-1500など、実践を通してRBチューンの可能性を追求している。ベストタイムは8秒台と実力も兼ね備える。
これがドラッグレース世界最速のBNR32だ!


こちらはイベントに特別ゲストとして迎えられたオーストラリアのクロイドン・レーシング・ディベロップメンツのR32スカイラインGT-R、通称「JUN II」。プロストリートクラスで6.37秒(終速224mph=360km/h)という世界最速タイムを誇る。
ER34をベースにAWD化でGT-R仕様を構築!


GT-Rフェスティバルの一週間前にラスベガスで開催されたSEMA2024でアンベールされたThrotl(スロットル)のER34スカイラインも展示された。



25GT-tのAT車をベースにPRPのコンプリートエンジンとR34のコンポーネントを流用してAWD化。カーボンダッシュやバケットシートを使うなど、レーシーでありながらショーカーとしての色っぽさも兼ね備える。こちらもドラッグレースを走る想定で作り込んであるため、トラックデビューの日も近い。
PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI
Part.2へ続く