日産の伝説的V6、“VQ”エンジンが数年以内に終了する可能性があるという情報に、今、ファンの間に衝撃が走っている。

日産 マキシマ

日産のVQエンジンは、同社の技術力とスポーツ志向を象徴する存在として長年にわたり高い評価を受けてきたV型6気筒エンジンだ。1994年に初代が登場して以来、数多くの改良を重ねながら、セダンからスポーツカー、SUVに至るまで幅広い車種に搭載されるなど、V6黄金時代を築きたのだ。

ハイブリッド車や最新のバッテリー式電気自動車が登場する以前から、多くのドライバーにとってV6エンジンは、ベーシックな4気筒エンジンと、パワフルながら燃費の悪いV8エンジンの中間に位置する、まさに理想的なパワートレインだったと言える。

日産の代名詞であるスカイラインやフェアレディZと聞けば、今でもRB型直6を思い浮かべる人は多いと思うが、「その後」の日産を長く支えたのは、1994年にデビューしたV型6気筒、VQエンジンだと言える。直6からV6への転換は、日産にとって大きな賭けだったがトルクの太さとレスポンスでFRスポーツらしさを演出、高回転まで伸びる上質なV6として成功をおさめた。

VQシリーズは排気量も用途も幅広く、日産の主力モデルをほぼ網羅。2L級から3L、3.5L、4Lとラインアップ。搭載されたモデルバージョンもセダン、クーペ、ミニバン、SUVなど、日産のすべてがつまっているといっていいだろう。

日産は1997年にテネシー州デカードに米国初のエンジン工場を開設、それから29年間で、同工場は2000万基のVQエンジンが生産された。この節目は4月下旬に達成され、3.8L VQ-ZV9 V6エンジンがラインオフ、ミシシッピ州カントンで製造される日産フロンティアのエンジンルームへと送り出された。

また、デトロイトの『Wards Automotive』誌が創設した“Wards 10 Best Engines”アワードには、2008年まで14年連続でリストに名を連ねている。元『Wards Automotive』編集長で“Wards 10 Best Engines”アワード審査員のデイブ・ゾイア氏は、「3.0L DOHC VQエンジンは、驚くほどスムーズに、そして軽々と回転数を上げ、マキシマのホイールに瞬時にパワーを伝達しました。そのため、私たちはこれが史上最高のV6エンジンではないかと議論し始めたほどです」と語っている。

その後、一度ランク外となったが、300馬力の新型マキシマが登場した2016年、“Wards 10 Best Engines”アワードのリストに復活している。

同アワードの審査員であるドリュー・ウィンター氏は、「日産は毎年、このエンジンに大幅な改良を加えていた。当時としては前代未聞のことだった」と、VQ型エンジンが数々の賞を受賞したのには相応の理由があると述べている。

また、1995年の同アワードの立役者である編集者のビル・ヴィスニック氏は、1998年にマキシマに搭載されたVQ型エンジンの高回転域での滑らかさを「驚異的」と評している。「時速85マイル(約137km/h)で高速道路を走っていても、3速からシフトアップする必要性を感じないことは珍しくない」と驚きの証言も残している。

VQエンジンはこれからも日産のエンジンを担うものと見られていたが、いよいよその終焉が近いという噂が立っている。次世代のエクステラに搭載される予定であり、次期スカイラインなどへの搭載も期待されている3.8L V6エンジンは、「おそらく最期のVQ型エンジンになるのでは?」と噂されている。

近年では電動化の流れの中で純粋な内燃機関の存在感は変化しつつあるが、VQエンジンが築いてきた技術的遺産とドライビングプレジャーは色褪せるものではない。日産のエンジン開発史において、VQは間違いなく一つの完成形であり、たとえエンジンがなくなる日が来ても、多くのファンに語り継がれる名機となるはずだ。