C10「ハコスカ」を彷彿のフロントマスク

日産が公開した画像や公式YouTubeを見ると、フロントグリルは非常に薄く、それが左右で天地幅を広げて「ヘッドランプがありそうなゾーン」につながる。垂直2本線のDRLとヘッドランプをどう組み合わせるかはまだ判然としないので「ありそうなゾーン」としか言えないが、この天地幅の変化もC10系を彷彿とさせる要素だ。

C10系はグリル上端のメッキモールがヘッドランプのところで一段上がる。前身の2代目=S5系もそうだったが、下端のモールも一段下げたのはC10の特徴だ。ケンメリ以降はグリルとヘッドランプを横一文字に構成したり、グリルレスにしたり・・。R34からはグリルとヘッドランプの間にボディ色を挟むようになった。歴代のなかで、グリルの上端線と下端線の両方を動かして、天地幅を変化させたのはC10しかない。新型のデザイナーはそこに着目したのだろう。
そしてグリルの上、ボンネット前端にはSマークが見て取れる。C10系の時代はグリル中央に日産のNマークを置いており、SマークはC110(通称ケンメリ)から採用。新型のシャープな書体はC210(ジャパン)やR30、あるいはR34のSマークに由来するものと思われる。
伝統の丸型テールはリング発光
スカイラインと言えば、丸型テールランプがお馴染み。そのルーツは初代のマイナーチェンジに遡る。1957年に初代スカイラインを発売した後、市場からテールランプが曇るというクレームが寄せられた。反射鏡とレンズの間にパッキンを挟んでボルト止めするのだが、密着性に問題があって水が入ってしまっていたのだ。そこでパッキンに均一の力がかかるように、マイナーチェンジで丸型ランプに改めた。
その丸型を2代目=S5系が踏襲。ハコスカは横長矩形のリヤコンビランプを採用したが、続くケンメリの2000GTは2連丸型だ。S5系に立ち返ったわけではない。当時のジェット戦闘機のように、ノーズから取り入れた空気をリヤから噴出する。そんなイメージを表現するのが2連丸型の意図だった。
だから2連丸型は2000GT だけで、4気筒搭載の普及グレードは矩形ランプを並べたコンビランプだった。5代目=ジャパンも同様。R30とR31では矩形のコンビランプのなかに2連丸型が光るようにした。R32からR34は非点灯時も2連丸型に見えるデザインだったが、実はケンメリから一貫するのは丸の中心部分は遮光してドーナツ型に光ること。そのほうが遠目にも「丸」に見えやすい、というデザイナーたちのこだわりだ。
続くV35で丸型テールの伝統がいったん途絶えたのは、それがスカイラインとしてデザインされたわけではなかったから。先代V36は異形コンビランプながらLEDの点光源を並べて2つの円で光るようにし、スカイライン・アイデンティティを取り戻した。それを現行V37も受け継ぐが、光り方はリング状に進化している。

新型も2連のリング発光。外側のほうが丸の直径が大きいのはケンメリ、R34、そしてV36〜V37に共通する。ただし、R32〜R34のように非点灯時も2連丸型に見えるのか、一体型リヤコンビのなかで2連丸型に光るのかは、まだわからないが・・。
●サーフィンラインをどう進化させる?

C10のデザインで、もうひとつ特徴的なのが「サーフィンライン」だ。リヤドアから後輪の上を抜けてリヤエンドへ、シャープエッジを伴う面を張り出した。今で言うブリスターフェンダーだ。量産車でブリスターの元祖は1980年のアウディ・クアトロというのが通説だが、プリンスのデザイナーはそれを60年代にやっていた。

狙いは「力強い面を作る」こと。着目したのが、張力をかけた布に竹ヒゴを押しつけたときにできる山型断面である。そこにある緊張感を写し取って、あのサーフィンラインが生まれた。それがケンメリとジャパンに受け継がれ、よりシンプルに進化し、しばしの時を経てR32でブリスターフェンダーとして復活。R33〜R34ではGT-Rだけがブリスターフェンダーを採用した。

新型の公式YouTubeでは、リヤフェンダーに「Skyline」のエンブレムがあり、その下の面が出っ張っていることが見て取れる。それがサーフィンラインに由来するようなブリスターなのかどうか・・。願わくば、ただのブリスターではなく、1968年にC10が成し遂げたような「新発想」がそこにあってほしい。C10のサーフィンラインは当時、それほど革新的だったのだからね。


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