「T88-38GK、T518Zの後継タービンがスタンバイ!」トラスト34RXが切り開くターボチューンの未来

重視するのは低中回転域のトルクとレスポンス

シングルターボ派もツインターボ派も注目のタービンが完成間近!

1990年代のBNR32を皮切りに、“トラスト”のパーツ開発車両兼デモカーとして活躍してきた歴代GT-R。いずれも、『GReddy RX』というネーミングが与えられ、それを現在進行形で受け継ぐのがBNR34ベースのGReddy 34RXだ。

導入は2018年。時代が大きく変わったこともあり、かつての谷田部最高速のような表舞台に立つ機会こそ少ないが、パーツ開発車両としての任務を黙々とこなしている。今年の東京オートサロンには試作電動6連スロットルを装着して展示。LINKでのフルコン制御にはまだセッティングの余地が残されているものの、最新パーツでRB26DETTチューニングの可能性を模索する様子に、歴代GReddy RXの姿が重なる。

そんな34RXに間もなく課せられる使命が、東京オートサロンのトラストブースでお披露目された試作タービンのテスト。T519ZとT88H-48HRが、それだ。

タービンに携わるトラスト開発部の小野さんが言う。「どちらもコンプレッサーホイールの形状がポイントです。5軸マシニングによる成形でビレットホイール化。これで従来製法より細かく形状を変えられ、結果的に表面積が拡大しているので、より多く空気を効率良く充填できると思います」。

その数字から、「従来のT518Zより容量が大きいパワー志向のタービン」と思われがちなT519Z。ところが、話を聞くとそうではなかった。

「入口側はT517ZとT518Zの間のサイズ。出口側は径を小さくしてます。コンプレッサーホイールを横から見るとすそ野が短くなったイメージですね。T517/518Zと同等の1基350~380psというピークパワーを実現しながら、低速域のトルク特性とレスポンスに優れるのがT519Zだと思います」と小野さん。RB26DETTでテストして結果が良ければ、SR20DETなどへの展開も予定されているタービンだ。

実際のコンプレッサーホイール径だが、T517ZがIN:48.1mm/EX:68mm、T518ZがIN:50.5mm/EX:68 mm。そして新作のT519ZがIN:49.5mm/EX:62 mmという仕様だ。

そして、38GKに代わるトラスト最強のタービンとして開発されるT88H-48HR。その性能を引き出せるエンジンは国内ではRB26DETTや2JZ-GTEなどごく一部に限られるが、実は海外需要が見込まれ、とくに中東では日産サファリに搭載されるTB48DE(4.8L直6)への装着が期待される。

小野さんいわく、「38GKが1100psですから、48HRは1200psを超えてほしいですね。それからEXハウジング次第のところはありますけど、コンプレッサーマップを見る限り、低中速域のトルク特性も改善されると思います」とのこと。

こちらのコンプレッサー径は、T88-38GKがIN:75.9mm/EX:98mm、T88H-48HRがIN:78mm/EX:98mmとなる。

今回のT519ZとT88H-48HRで期待が高まるのは、低中回転域におけるトルクとレスポンスの向上。両者のコンプレッサーマップからもそれがほぼ確実視されている。「ただ、数値やマップだけでは読み切れないのがタービン。実際に組んで走らせてみないと、本当のところが分かりませんから。特にレスポンスやフィーリングは」と小野さん。

そこで34RXの出番というわけだ。ツインで装着されている現状のT517Zでまずデータを取り、その後T519Zに交換。パワー&トルクを始め、排圧やハーフ領域の特性、サージングの程度などを比較することになっている。

それがひと段落したら、T88H-48HRのテストに移る予定。歴代GReddy RXがそうだったようにパーツ開発の最前線に立ち続ける34RX。それはチューニングの未来を見据え、新たなパーツを市販化するために、トラストにとっては『なくてはならない存在』なのだ。

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●取材協力:トラスト TEL:0479-77-3000

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