「GT-Rと真っ向勝負できる究極形86の勇姿」最高速310キロオーバーは伊達じゃない!

最高速315キロをマークした500馬力の怪物

GT-Rとも戦えるスペックを手に入れたフルチューン86

ボルトオンで手軽にモアパワーが得られることから、ストリートユーザーにも人気の高い86&BRZの過給機チューン。そんなパワーチューニングの可能性を徹底追求し、速さの限界領域を切り拓いているのが京都の“オートクラフト”だ。

2017年にOPTION本誌の最高速企画(2017年)で315km/hというとんでもない記録を打ち立て、チューニングシーンを騒がせた事は記憶に新しい。

市販の過給機キットが存在しない頃から独自にターボシステムを構築し、少しずつ進化させてきたFA20。腰下はクローズドデッキ加工した上で、CPキャリロの鍛造ピストンとBCのI断面コンロッド、そしてDLC加工済みの純正クランクシャフトを投入して2.0Lのまま強化。ブースト圧は2.2キロ(570ps)までテストしているが、一発狙いで無いかぎりはマージンを確保した1.8キロ(500ps)に抑えている。

500psオーバーを実現するタービンは、ボルグワーナーのEFR6760。エアコン搭載のストリート仕様ではコンプレッサーとのクリアランスが非常に厳しかったそうだが、EXマニやパイピングの見直しで絶妙な位置へと収めている。

そのレイアウト上、FA20のターボ仕様はタービンの熱でサクションパイプが加熱され、吸気温度のヒート傾向が強い。そのため、オートクラフトでは遮熱処理だけでなく、吸気温度センサーの取り付け位置もインマニへと変更して対処している。

86&BRZで過度のパワーを狙うと純正ミッションでは耐えられない。そこでこの車両は、圧縮比9.9で4500回転付近からレスポンス領域となるタービンとのマッチングも考え、クロスレシオのトラスト6速Hパターンドグを投入。ファイナルは3.1だ。

ハイパワー化で負担がかかる駆動系対策も徹底。ストローク時のドライブシャフト負荷を軽減するためにデフケースの搭載位置を限界までボディ側に近づけ、ドライブシャフト自体も強化品を投入している。

足回りはアラゴスタベースのA.C.E+スペック車高調(F14㎏/mm R16kg/mm)でセットアップ。 アーム類はサスペンションに入力される負荷に対して、リニアに足を動かすことを目的にフルピロ化している。

ホイールはボルクレーシングZE40(10J×18)で、タイヤにはポテンザRE71R(265/35R18)をセット。ブレーキは前後とも制動屋のキットを投入しており、フロントが6ポットキャリパー+332mmローター、リヤが4ポットキャリパー+316mmローターという組み合わせだ。

国内最高レベルのチューンド86、その速さはクローズドサーキットでも健在で、セントラルサーキットを舞台にしたタイムアタック(ドライバー:井入宏之選手)ではあっさりと1分26秒282をマーク。ストレート区間でのトップスピードも、ブーストアップ仕様のR35GT-Rにも肉迫する211.64km/hを記録してみせた。

最高速仕様としての純度を高めつつ、他ステージでも圧巻の速さを披露するオートクラフト86。老舗の技術力と拘りが詰まった、まさに珠玉のスーパーチューンドだ。

●取材協力:オートクラフト京都 京都府京田辺市大住大峯1-7 TEL:0774-64-6466

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