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HKSテクニカルファクトリーのFA20最新チューニング
ターボらしい出力特性を楽しめる2.1Lターボ仕様
完全にショップデモカーレベルのクオリティだが、この86はれっきとしたオーナーカーだ。「運転が楽」という理由で6速AT車を選んだものの、やはりノーマルでは物足りなくなり、HKSテクニカルファクトリーに相談。そこから本格的なチューニングがスタートしたそうだ。
最初に行ったのはGTスーパーチャージャーのポン付けだった。激変した走りに満足感を得た一方で、スーパーチャージャー特有のフラットなフィーリングはオーナーが真に求める特性ではなかった。「ドカンと過給が掛かる方がチューニングカーらしいはず」と感じたオーナーは、しばらくしてGTIII-RSタービンキットへの仕様変更を決意したのだ。
同時に、エンジン本体もHKSの2.1Lキャパシティアップグレードキットを組み込むことで、実測345ps/43.0kgm(係数なし)というパワースペックに到達。しかし、ここまでのパワーアップとなると、気になるのがATの耐久性だ。
「フラットトルクのスーパーチャージャーの場合、変速時にトルクが急激に掛からないので問題ないんです。でも、トルク変動の大きいターボの場合、AT自体に対策を施さないと変速時に滑りが発生してしまいます」。そのように説明してくれたのはHKSテクニカルファクトリーの菊池さんだ。
そこで施されたのが、AT本体の強化。HKSテクニカルファクトリーでは86&BRZ専用メニューとして『オートマチックミッション強化メンテナンス』を展開しており、ライン圧を高めて圧着力を増大させる=ATの滑りを抑え込むことが可能なのだ。
作業は事前予約をすれば1日で完了し、部品と工賃一式で8万8000円(ATフルード代は別途)で完成する。合わせて、トラブルに直結するATF油温上昇を食い止めるためにATFクーラーの導入も必須とのこと。
ホイールはアドバンレーシングGT(F8.0J+45 R9.0J+52)で、タイヤはアドバンネオバAD08R(F225/40-18 R255/35-18)をセレクト。ちなみにファイナルギヤは加速重視の4.5だ。
ブレーキはTRDのブレンボキャリパーキット(F6ポット+355mmローター R4ポット+355mmローター)で、パッドはエンドレスのMX72プラス。増大したパワーにも対応したスペックを与えている。
インテリアは、エアコンやカーナビなどの装備も完全に機能する快適仕様だ。シートはレカロ製のバケットタイプで、助手席側のダッシュボードやメーターフードにマウントされた追加メーターは、デフィ製で統一。
このチューンドをサーキットで走らせた相原誠司郎選手は「楽しいパッケージですね。そして86のATは思っていた以上に優秀! 個人的には若干のタイムラグを感じるパドルシフトよりも、Dレンジのまま走る方が合っていました。7000rpmまで引っ張ってパワーバンド内でシフトダウンしてくれるし、キックダウンせずに加速するのも好印象でした」と絶賛。
「オーナーさんはたまに富士スピードウェイも走行されるので、サーキットでのスポーツ走行が本気で楽しめて、普段の街乗りも快適にこなせる仕様になっていますね」とは菊池さん。
オートマだからこそのシームレスな加速も相まって、サーキットのみならずあらゆるステージで強烈な速さを体感できる86。快適チューンドとしてはひとつの理想形と言えるだろう。
●取材協力:HKSテクニカルファクトリー 埼玉県戸田市美女木5-2-8 TEL:048-421-0508
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