「禁断の自腹企画」話題の“アドバンネオバAD09”を“ポテンザRE-71RS”とガチ比較してみた!

新世代アドバンネオバの特性を丸裸にする!

コンマ4秒の距離感をどう捉えるかはユーザー次第だ

アドバンネオバの新世代モデル「AD09」が登場し、ハイグリップラジアルタイヤ戦争の勢力図が大きく動き出しそうな気配だ。

今後、様々なメディアが独自にインプレッション企画を展開していくだろうが、エンドユーザーが本当に知りたいのは、サーキット走行を好むクルマ好きの間で圧倒的な装着率を誇る『ポテンザRE-71RSとの距離』だろう。

そこでWEB OPTION編集部は、意を決して両タイヤを自腹購入。それぞれのタイヤを、筑波サーキットで比較する禁断の企画を敢行した。

走行はアドバンネオバAD09→ポテンザRE-71RSの順で行った。

アタック車両は、HKSが所有する開発車両のGRスープラ(試乗企画でレンタル中)。タイヤサイズはフロント255/35-19のリヤ275/35-19とし、条件を揃えるためにホイールもウェッズスポーツRN-05Mで統一した。

アタッカーは…企画がシビアすぎるため明かせないが、日本でトップレベルのプロドライバーであることは記しておく。

テスト内容は、タイヤ&ホイールを付け替えながら、筑波サーキットのコース2000を5ラップほど全開アタックするというもの。エア圧は冷間1.8キロとした。

気になるベストタイムは、アドバンネオバAD09が1分1秒06(3ラップ目)、ポテンザRE-71RSが1分0秒64(2ラップ目)。ポテンザRE-71RSが、アドバンネオバAD09をコンマ4秒ほど上回る結果となった。

しかし、ここで「ポテンザRE-71RSの勝利」と考えるのは短絡的だ。というのも、走行後にそれぞれのタイヤのトレッド面を確認したところ、大きな違いがあったからだ。

左がアドバンネオバAD09のトレッド面/右がポテンザRE-71RSのトレッド面。

RE-71RSはブロックの端が全周に渡って剥離していたのに対し、アドバンネオバAD09は剥離が全くなく、綺麗な顔を残していたのだ。しかも、この比較画像はRE-71RSは5周走行状態だが、アドバンネオバはその倍の10周走行状態だったりする(ネオバはグリップレベルが落ちなかったためドライバーが走り続けた)。

また、ラップタイム表を見ると、前半はRE-71RSが圧巻のパフォーマンスを見せつけているが、後半でタイムが逆転。アベレージタイムでは、アドバンネオバAD09=1分1秒314/RE-71RS=1分1秒336と、アドバンネオバAD09に軍配が上がっているのだ。

ポテンザRE-71RS(5周アタック後)

「ポテンザは剛性感が非常に高くて、安心感が凄いです。タイムもキッチリと出ますしね。ただし一発向けです。アタック3ラップ目くらいからグリップが明らかに落ちてきました。その原因がこの剥離ってわけですね。ブロックは路面を掴む重要な部分ですが、そこが崩れると厳しい」。

アドバンネオバAD09(10周アタック後)

続けて「ネオバはポテンザほどの剛性感はない…というか、方向性が違うように感じました。しなやかな強さって言うんですかね。一発の速さはポテンザが上ですが、ネオバは本当にタレない。グリップレベルが非常に高いレベルで安定しているんです。それと、ネオバはもっと内圧を下げてスタートした方が筑波には良かったですね。アンダー傾向が強かったですから。多分、1.6スタートだったらもう少しタイムを削れたと思います」とのこと。

そういえば、歴代アドバンネオバの開発ドライバーが、AD09を「サーキットに自走で行って、全開で走って、そのまま快適に帰れるタイヤ」と表現していた。「タイム出しはA052に任せれば良い」とも。

つまり、アドバンネオバAD09はあくまでストリートに軸足を置いたスポーツラジアルタイヤであり、ドライグリップ性能を追求したポテンザRE-71RSとは方向性が異なるというわけだ。

一発の速さが欲しいならポテンザRE-71RS、安定した速さが欲しいならアドバンネオバAD09。これがWEB OPTIONの答えだ。

PHOTO:金子信敏

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