「実用性最強のスタイリッシュオープンカー!」魅力に溢れたサイノスコンバーチブルを再考する

日常域での扱いやすさと優れた実用性

女子に似合うジャストサイズな1台!

globeを起用したテレビCMが記憶に残っている人もきっと多いだろう、2代目L50系サイノスが発売されたのは1995年8月。そのラインナップに翌1996年8月、コンバーチブルが加わった。

グレードは4E-FE型エンジンを搭載する1.3αと、5E-FHE型エンジンを載せる1.5βの2つ。ミッションは、前者に4速MT(1997年12月以降は5速MT)と3速AT、後者には5速ATと4速ATが用意された。

取材車両は1.5βコンバーチブルの4速AT車。オープン時はともかく、クローズド時の佇まいが微妙な国産オープンカーがある中で、初めて間近に見るサイノスコンバーチブルは果たしてどうか。

まず、クローズド状態とオープン状態を真横から比較。面白いのがリヤクォーターウインドウで、上下開閉式ではなくソフトトップと一体になっていて、折りたたんでいくと回転しながら収納される。また、Aピラーにアンテナが備わるクーペに対して、コンバーチブルは左リヤフェンダーに電動アンテナを装備し、LEDハイマウントストップランプ内蔵リヤスポイラーも標準となる。ホイールはQNC系bBの純正15インチアルミを装着。

さらに、ルーフからリヤウインドウ、トランクパネルにかけてなだらかで段付きのないラインを描き、リヤクォーターウインドウの形状や、そこからソフトトップ後端までの裾野が伸びやかなこともあって、“見られる”スタイリングだ。

クローズド状態でそうなのだから、オープン時にカッコ悪いはずがない。ノーズが低くてシュッとしたフロント周りに対し、リヤ周りが少しボリューミーな感じがしなくもないが、そこは好みの問題だろう。

エンジンは4E-FEのストロークアップ版でもある5E-FHE型。第二世代のハイメカツインカム“レーザーα-II”として開発され、従来型の5E-FEに対して16ps/0.4kgmアップとなる110ps/13.9kgmを発揮した。また、最高出力の発生回転数が1000rpm引き上げられる一方、最大トルクの発生回転数は400rpm低下。日常域での扱いやすさを向上させた。

インパネ周りではステアリングホイールをモモコルセに交換。メータークラスターやセンターコンソールは赤いパイピングで縁取られる。シルバーの文字盤を採用するメーターは、スピードメーターの右にタコメーター、左に燃料計と水温計を配置。タコメーターのスケールは1.3Lモデルαの7000rpmに対して1.5Lモデルβでは8000rpmとなる。

背もたれ一体型のヘッドレストを持つハイバックタイプの前席。カタログにはフィット感に満足できるスポーティシートとの記述がある。運転席にはシートリフターを装備。

後席はスペース的には十分だが、背もたれの角度が立ちぎみ。前倒しできるクーペとは違い、コンバーチブルでは固定式となる。

屋根を開けて走り出す。5E-FHE型エンジンは、兄弟関係にある4E-FE型に比べて排気量が200cc(厳密には165cc)大きく、その分、下のトルクが出ていることで街乗りが楽だ。もちろん、4速ATとのマッチングも良い。

ハンドリングは割と安定志向。ステアリング操作に対して気持ち良くノーズが向きを変えてくれるが、クイックに曲がるコーナリングマシンという感覚でなく、どちらかと言うと高速道路を巡航するようなシチュエーションにぴったりハマるような気がする。

実は1.5Lクラスで4人乗れて荷物も積める国産オープンカーは先にも後にも少なく、せいぜいファミリア/レーザーコンバーチブルとパルサーEXAコンバーチブル(ただし100台の限定車)くらい。そう考えると、スタイリッシュなサイノスコンバーチブルの魅力も増すはずだ。

■SPECIFICATIONS
車両型式:EL54C
全長×全幅×全高:4155×1660×1320mm
ホイールベース:2380mm
トレッド(F/R):1405/1395mm
車両重量:1060kg
エンジン型式:5E-FHE
エンジン形式:直4DOHC
ボア×ストローク:φ74.0×87.0mm
排気量:1496cc 圧縮比:9.8:1
最高出力:110ps/6400rpm
最大トルク:13.9kgm/4000rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR175/65R14

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

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