「若さ大爆発!」衝撃の学生カスタムマシン特集Part.1【東京オートサロン2022】

独創的アイディアが刺激的すぎる!

学生ならではの発想力によって製作される奇想天外カスタムマシンは、東京オートサロンを語る上で外せない。2022年は総勢32台の作品が会場を賑わせていたが、このコーナーでは全3回に分けて学生パワーみなぎる全出展車両を紹介していこう。

埼玉自動車大学校:YARIS Jr.

ベース車:トヨタ iQ[KGJ10]

2016年まで販売されていたマイクロコンパクト「iQ」をベースに、GRヤリスのスタイリングを完全移植したのは埼玉自動車大学校の学生達だ。

サイズの違いを集約する巧みなボディワークは、iQとGRヤリスのパーツを細かくカットして繋ぎ合わせた力作。とくにフロントフェンダーの造形はワイド感を損なわないよう、最も苦労したポイントなのだとか。

さらに見た目だけ完成したら終了ではなく、GRヤリスの弟分を主張するためにパワーユニットを刷新しているのも特徴。元々フロントに置かれていた1KRエンジンは取り去られ、ラゲッジスペースにカワサキZX-14RのZXT40EFを搭載。ちなみに、このエンジンスワップはボディにエンジンハンガーを新設し、ドライブシャフトにスプロケを組み合わせてチェーンドライブをそのまま生かしている。

シフト操作は、ラテラルロッドを流用して製作したリンケージを介するIパターン式となっている。残念ながらバックギヤの実装は間に合わず、これから機構も含めて手段を考えていくそうだ。

GRヤリスの皮をかぶった超高回転型エンジン仕様のiQ、完成したあかつきには是非とも試乗インプレッションしてみたいものだ。

NATS(日本自動車大学校):TARGA-STANCE

ベース車:マツダ RX-7[FD3S]

過去に先輩が製作したFD3Sをベースに大幅リメイクを行なったのはNATSの3班。元々カスタムされたボディを一旦リセットし、『ワイルド・スピード(Fast & Furious)』の劇中車をイメージして大改造。ルーフをタルガトップ化した上で、令和の最新スポコンスタイルを創出したのだ。

とくにボディ剛性にも影響するタルガトップ化は、ピラー周辺やドアシルに補強を加えながらメイキング。NB型ロードスターやカプチーノの純正パーツを上手く流用することで、デイリーユースにも耐えられるタルガトップ仕様を実現している。

「本当に再現するなら、外装だけじゃなくエンジンもしっかり作りたい」ということで、心臓部もトラストのTD06SH-25Gターボキットでドーピング。全方位、隙なく仕上げられたリアルチューンドというわけだ。

日産京都自動車大学校:S340Z

ベース車:日産 フェアレディZ[Z34]

単なるS30のレプリカ仕様を作るのではなく、あくまでもZ34をベースに「S30をオマージュしたカタチ」をコンセプトに掲げた日産愛知自動車大学校のS340Z。

特徴的なヘッドライトはS30純正ベゼルを使用し、フェンダーやボンネットを大加工。ボンネットの膨らみなどは、日産のエンジニアと話し合いながらS30のデザインに近づけて整形したそうだ。

リヤゲートのラインもS30のイメージに近づけるために微調整を行うなど、細部フィニッシュも手抜きなし。憧れのS30をAT免許でも気軽に乗りたい…。そんな若者の夢を自分達の手でカタチにした、理想のカスタムスペックなのである。

トヨタ東京自動車大学校:逆襲の車アー

ベース車:トヨタ セリカ[ST205]

ST205型セリカにGRスープラの意匠を取り入れたカスタムチューンド、それがトヨタ東京自動車大学校の“逆襲の車アー”だ。

とくにフロントバンパーの仕上げには力を注ぎ、丸4灯ヘッドライトとのバランスを整えるように造形を検討。古さを払拭するスタイリングの構築に成功している。

一方の室内も超レーシーなメイキングだ。内張りは取り払われ、さらにダッシュボードもカーボン化するなど徹底的に軽量化を推進。根幹にあるテーマは家電化が進む自動車業界へのアンチテーゼ、だからこその“逆襲”というわけだ。

トヨタ東京自動車大学校:私をオートサロンに連れてって

ベース車:トヨタ セリカ[ST162]

1987年に公開された映画「私をスキーに連れてって」でお馴染みのST16系セリカ(ワンオーナー車!)を、フルレストアで蘇らせたのはトヨタ東京自動車大学校。

当時物のスキーキャリアを載せるなど、所々に劇中車をイメージさせるメイキングが施されているが、ベースモデルがGT-FOURではないこともあり、目的地は東京オートサロンに設定したそうだ。ちなみに、スキー服を着た女子学生に話を聞いたところ「映画は全く知りません」とのこと。時代の流れを感じた次第だ。

東京自動車大学校:BM★ロードスター

ベース車:マツダ ロードスター[NB6C]

2021年度の卒業生が製作したBM★ロードスターは、その名の通りBMW E46の顔を持つNB型ロードスター。E46型のBMW(320iMスポーツ)のオープンモデルに乗りたいという学生達の想いを具現化した作品とのことだが、細部フィニッシュはかなりハイレベルだ。

NATS(日本自動車大学校):A90spider

ベース車:レクサス SC430[UZZ40]

東京オートサロン2020でインポート部門の優秀賞を獲得したA90スパイダー(SC430ベース)は、FD3Sベースのタルガスタンスと並べてディスプレイ。ワイルドスピードの世界観を見事にブースで表現してみせたのだ。今回の出展にあたっては、当時“ただ載せただけ”の状態だったという2JZ-GTEエンジンのリファインに着手。その模様はYouTubeチャンネルで展開してきたそうなので、気になる方はチェックしていただきたい。

NATS(日本自動車大学校):COSMO VISION

往年のコスモスポーツを現代風にアップデートさせた作品、それがこのコスモビジョンだ。特徴的なスクエアフェンダーや魂動デザインをフィードバックしたグリルなどを組み込み、独創的フォルムを構築している。

NATS(日本自動車大学校):S35Z

ベース車:日産 フェアレディZ[Z33]

2022年6月のデビューが決定した新型Zを、5代目ベース(Z33)で一足先に表現した大作がこちら。製作したのは2021年度の卒業生達だ。ロングノーズ&ショートデッキを徹底するため、Z33のホイールベースを400mm延長。S30純正のヘッドライトベゼルやテールランプなどを取り入れて、懐かしさと斬新さが共存するスタイリングを生み出した。

東京自動車大学校:ドレ復活 下田紗弥加 マット君

ベース車:マツダ RX-7[FD3S]

D1ライツシリーズに出場する下田紗弥加選手のマイカーを、授業で培った鈑金技術で美しくブラッシュアップさせた作品だ。

損傷が大きかった左フロント部分はフレーム修正機で修復。エアロパーツも新調しながらピンクメタリックでオールペイントすることで、エクステリアは新車レベルの輝きを放っていた。

筑波研究学園専門学校:アンフィニRX-7

ベース車:マツダ RX-7[FD3S]

学内に放置されていたFD3Sをフルレストアし、新車レベルのコンディションを目指したのが筑波研究学園専門学校だ。幻となった東京オートサロン2021をターゲットにしたプロジェクトだったが、「このまま終わらせるのはもったいない!」と計画続行。完成度をさらに高めて東京オートサロン2022に乗り込んできたのだ。

レストア作業は、エクステリアのみならずエンジンルームからインテリアまで徹底。1級整備専攻科と車体整備専攻科の学生15名が手を取り合って作り上げた超美麗FD3S、惚れ惚れするほどのクオリティだ。

NATS(日本自動車大学校): NGR-concept

ベース車:日産 リーフ[ZE-1]

EV世代に交代する2040年を見据え、その時代の若者達が懐かしさを感じるようなデザインで現行リーフをリメイク。BMWミニのヘッドライトとテスラのようなフラットバンパーで顔付きを変え、さらにリヤ周りもリーフの雰囲気を一掃。高度なファイバーワークが冴え渡る、近未来型レトロフューチャー仕様だ。

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption