目次
蝕まれたGT-Rのボディを完全再生するガレージヨシダの技術
新車製造ラインでの電着塗装処理も可能!
最終のBNR34型でも、生産終了からすでに20年の年月が経過している第二世代GT-R。メンテナンスをかかさず大切に乗り続けていても、徐々にボディは蝕まれ、深刻な問題として表面化してくる場合も多い。
また、例えエクステリアが綺麗でコンディションが良さそうでも、実は下回りを中心に劣化が進んでいるケースもある。塩害に晒される雪国や沿岸地域はもちろん、屋内保管されている車両であっても、過去の保存状態によりダメージが進行していたりするのだ。
ここで紹介する“ガレージヨシダ”は、「この愛車に末長く乗り続けたい」というオーナーの想いに応えてGT-R再生へと取り組むスペシャリスト。エンジンから足回り、ボディに至るまでワンストップでフルリフレッシュできる体制を整えているが、中でも注目を集めてきたのは、究極の仕上がりを求めストリップボディの電着塗装まで可能にしてきたボディワークだろう。
「最近増えてきているのは、サビ対策を施していたけれど、経年によりその内部で腐食が広がり深刻化してきたという車両ですね。パッと見はサビが浮いてきた程度に見えるのですが、実際にはその内部で鋼板が完全に腐っている。パネル交換しか選択肢がない場合も多いんです」とは、代表の吉田さん。
なお、腐食との戦いは見極めと臨機応変な心構えが必要だ。その除去には、熱を持たせることなく防錆も同時施工可能なウエットブラストを採用しているが、ダメージが深刻な場合は骨格を保持できないほどになる。そうしたケースでは、鋼板などによるパッチ処理も行いながらウエットブラストで細かな表面のサビを取り除く。
ちなみに、フレームやパネルといった外板パーツの多くは生産廃止状態。そこで、ガレージヨシダではダメージの度合いに応じてドナー車両を用意して移植を図ったり、鉄板から必要な部位を製作するといった作業で対応している。
GT-Rのウィークポイントであるストラットタワーパネルも入手不可だ。そのため、以前はハンドメイドで対処せざるを得なかったが、海外に補修パーツが存在することを突き止めた。こういった情報には常にアンテナを張り巡らせ、再生精度の引き上げとコストダウンに取り組んでいるのである。
技術を注いで腐食の除去、コンディションを取り戻した後は、この先の経過での劣化を最小限に抑えるべく、ボディにはシーリングやウレタンコート、足回り類にはパウダーコート、ステー類はメッキ処理などといったガード強化へ力を注ぐ。
また、究極のボディ再生術として、作業後に新車製造ラインへとシャーシを持ち込み、細部にまで塗装の行き届く電着塗装処理を行うことも可能にした。
気になる復刻&レストアの費用だが、一台ずつコンディションが異なることやどこまでの再生レベルを求めるかによっても作業内容が大きく異なるため、一律で目安を示すことは難しいとのこと。
ただ、誰が見ても廃車にするしかないだろうと諦めるようなボディコンディションであっても、ガレージヨシダは見放さず、新車時を越える状態へと甦らせていく。かけがえのない愛車を失わない究極のリフレッシュ術が確立されているということは、GT-Rオーナーにとって頼もしいかぎりだろう。
●取材協力:ガレージヨシダ 奈良県吉野郡大淀町越部215-1 TEL:0747-58-8585
【関連リンク】
ガレージヨシダ
http://garage-yoshida.net