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トップシークレットで現在も進化中!
ニュージーランド最高速アタックにも参加したRB26搭載仕様
JZA80型スープラと言えば、改めて紹介するまでもないチューニングベースの王道だ。ありとあらゆる方向性の仕様が存在するが、ここまで強烈な個性を秘めた異端なチューンドはそうはいないだろう。
なにせ、JZA80の象徴とも言うべき2JZ-GTE型エンジンを捨て去り、あろうことかライバル関係にある第二世代GT-RのRB26DETTを搭載してしまったのである。これは、正統派スープラファンからすると相当な問題作(!?)であり、禁忌に触れる邪道チューンと認識されてしまいそうだが、チューニングの世界に壁や限界などない。
なにより、圧倒的な完成度の高さを誇るこのチューンドを見たら、逆に感銘を受けるはずだ。
「このクルマは、7年前に中古車として流通していた個体なんです。元々はトップシークレットのデモカーとして、V-OPTなどで活躍していたものですね」とはオーナー。
そう、何を隠そうこのJZA80は、かつてトップシークレットのデモカーとしてニュージーランド最高速アタックや谷田部などの大舞台を走り抜けた存在そのものなのだ。そんな伝説の個体を手に入れたオーナーは、動態保存することなく、各部をリフレッシュしながら自分色にチューニングを進めている最中だという。
心臓部は経年劣化でくたびれていた箇所が多かったため、トップシークレットの門を叩いてオーバーホール&チューニングを依頼。スモーキー永田の手によって新たな命が吹き込まれたRB26ユニットは、オーナーの乗り方に合わせた2.8L仕様となる。組み合わせるタービンはトラストのT78-29Dで、最大ブースト1.5キロ時に650psを余裕で叩き出すスペックだ。
エキゾーストマフラーはトップシークレットのワンオフフルチタンモデル。RB26に対応したスペックながら、スープラにジャストフィットしたデザインが採用されている。
ブレーキは前後共にブレンボキャリパーで強化。フロントは90年代チューンドの定番フェラーリF50用だ。サスペンションはアラゴスタベースのトップシークレットオリジナル仕様を装着。ホイールは18インチのボルクレーシングGT-Cだ。
購入当時、タモンデザインのワイドボディキットが装着されていたというエクステリアは、オーナーの好みでリメイク。純正戻しを考えたそうだが、リヤフェンダーがザックリとカットされていたため断念。そして熟考の末に選んだのが、RIDOX製のボディキットだったという。
オーディオこそ装着されているものの、スタックメーターや薄いゴールドの内装など、デモカー当時の雰囲気が残されたコクピット周り。ステアリングもパーソナルのトップシークレットスペシャルだ。
ちなみに、製作時にトップシークレットによってフルスポット増しが行われたボディは今なお現役。ロールケージなどの補強が無くとも、一切の衰えを感じさせないボディ剛性を誇るというから驚きだ。
「休日のドライブ用です。最高速アタックはしませんよ(笑)。早朝の道が空いている時間に気持ち良く流すって感じです。そういうマッタリした使い方でもとても楽しいんですよ」。
聞けばこのオーナー、JZA80の他にMA70スープラのターボAも所有しており、気分に応じて乗り分けているそうな。スープラをこよなく愛する男の贅沢過ぎるチューニングカーライフ、羨ましいかぎりだ。
PHOTO:堤晋一