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モードパルファム・ファントム雅夢S2000と言う芸術
エレガントでありながら高い空力特性を有する
ブローデザインの代表、平野雅生さんはアメリカに長期滞在した際、同行していた大阪のUSDMショップ『EXCEED』代表の下向さんを通じて、多くのホンダ系チューナーや有名チームのメンバー達と知り合う機会に恵まれたという。そこで、タイムアタックマシンとしてのS2000の人気ぶりを目の当たりにしたそうだ。
ただ、それらS2000が装着しているエアロは、GTカーのデザインを模倣したものばかりだった。そこで、平野さんは『モードパルファム』からS2000用エアロのリリースを決意。「ストリート映えするエレガントさを持ちながら、本気のタイムアタック仕様が必要とする機能性を盛り込む」ことをテーマとしたワイドボディキットの開発に取り組んでいった。
「何枚描いたか覚えてないくらいスケッチを描きましたね」とは平野さん。それらのスケッチは下向さんを始め、アメリカのホンダフリーク向けWEBサイト『The Chronicles』を主催するジョイ・リーといった面々の監修を受けてブラッシュアップされていく。
モードパルファムと言うとセダン系のエアロをイメージしがちだが、スポーツカー用エアロも手掛けている。その中でも『ファントム雅夢』と名付けられたものは、代表の平野さんがどうしても作りたかったエアロにだけ与えられるサブネームだ。
しかし、S2000用はアメリカからのニーズに応えることも重要だった。フェンダーは前後とも片側2インチ(5cm)ワイドとなっているが、これはタイムアタックで使用する主流のタイヤサイズ(265/35-18)により指定されたサイズなのだ。
ちなみに、撮影車両が履くホイールはSSRプロフェッサーSPXで、サイズはフロントが10.5J×18+18、 リヤが10.5J×18+5。ブレーキはエンドレス製のモードパルファムオリジナルだ。
ワイドフェンダーは現在主流となっている逆アールではなく、正アールに拘った。なぜなら、逆アールのフェンダーは、元来、正アールだったフェンダーのコピーを繰り返していくうちにFRPが痩せて偶発的に出来たものであることを、その時代に見てきたからだと言う。
また、ビス留めで後付感を強調するのではなく、まるで最初からそうであったかのような車両との一体感を追求。そのため、専用のサイドステップやドアパネルとの複合的なデザインを施している。
そして、ワイド化された全幅に対して、前後バンパーにより全長が延ばされる。ロングノーズ化されたフロントバンパーは、各種ダクトを配置したグリルデザインで打ち出した機能美が魅力。ラジエターの冷却効率を考慮したメインダクトに加え、その上部の3連ダクトは「空気を流すためにも、デザイン上もどうしても必要だった」と言うものだ。そこで、この空気を抜くためのアウトレットがバンパー上部に設けられているのだが、さりげなくも効果的なアクセントとなっている。ボンネットはファーストモールディング製となる。
リヤバンパーはパラシュート効果の低減を考慮したダクトを装備。カーボン製のディフューザーは別体として交換対応できる設計となっている。リヤタイヤ後端のカバーは外すことも可能だ。また、GTウイング(VOLTEX製)と同時装着できるトランクスポイラーを用意している。
一方、当初は製作予定がなかったが、コンプリートスタイルを極めるには必須として追加されたのがハードトップだ。ウインドウには表面にキズが付かないよう新幹線や航空機に使用されるポリカーボネイトを採用し、しかも、FRPやカーボンとの収縮性の違いを考慮してボルト穴を長穴加工するなど、拘り抜いた自信作となっている。
日米ホンダマニアの意見を採り入れながら、日本製エアロならではの品質でハイデザインを構築したモードパルファム・ファントム雅夢S2000。その優美な姿態がタイムアタックで活躍することを想像しただけで、ワクワクが抑えきれない。(PHOTO:Hirotaka MINAI)
●価格表
ワイドボディキットセット:¥675,000(構成:フロントバンパーセット/フロントアンダーフラップ(カーボン)/ハニカムメッシュセット/フロントワイドフェンダー/フェンダーダクトフィン(カーボン)/サイドスカート/サイドアンダーフラップ(カーボン) /リヤワイドフェンダーセット/リヤバンパーセット/リヤディフューザー(カーボン) ※構成パーツは単体設定もあり。
OPTION:リヤディフューザーフィンセット(カーボン):¥40,000/ハードトップルーフキット(オールFRP):¥248,000/ハードトップルーフキット(カーボン+FRP):¥348,000/ABS製リヤウインドウフレーム:¥18,000/ABS製サイドウインドウフレーム:¥18,000
●取材協力:ブローデザイン TEL:0725-20-0522
【関連リンク】
ブローデザイン
http://www.blowdesign.co.jp