「首都高最速のBNR34を手にした男の物語」仕様変更でステージは公道からサーキットへ!

名匠「MCR」の元デモカーを購入して新たな道を歩む

大排気量NAのようなトルク重視の本気系BNR34チューン!

かつての愛車はMCRでチューニングされた2.6L+ニスモタービン仕様のBCNR33。それを乗りこなせるようになりたいという思いから、オーナーは週1ペースで全盛期の首都高に通うようになった。

ところが、走り慣れていたはずのステージで大クラッシュ。クルマは全損、本人も両足首骨折という重傷を負ってしまった。ただ、話はそこで終わらない。「さすがに懲りて走るのをやめるだろう…」という周囲の思いをよそに、クラッシュの翌日お見舞いにきたMCR小林代表に向かって、なんと「もう一度GT-Rで走りたいんで、デモカーを売ってください」と直訴したというから驚きだ。

「そこまで真剣なら引きとめても無駄」と思った小林代表は、もはや首を縦に振るしかなかった。そんな経緯でMCRの元デモカーBNR34が、かつて首都高で最速と呼ばれたスーパーチューンドが、オーナーの元にやってきたのだ。

デモカー時代から大きく変わったのはエンジンの仕様。HKS2.8Lキット+TO4Rタービンから、0.5mmオーバーサイズの86.5φN1ピストンとストロークが4mm長いニスモGTクランクシャフト&GTコンロッドを組み合わせた2738cc仕様にスイッチ。そこに、HKSの256度カムとGT-SSタービンをセット。狙いは低中速域のトルクとレスポンスの向上にある。

以前のBCNR33は高回転域でカムに乗るフィーリングを持ち、回して楽しむNA的な面白さがあったという。それに対してBNR34は、大排気量NAのようなトルク型だ。ブーストは3000rpm手前で正圧域に入って3200〜3300rpmでフルブースト。トルクもそこで最大値に到達するので、アクセルを踏んだ瞬間の蹴り出しは強烈だ。

車高調はMCRが開発にも加わったテインのタイプRS(F12kg/mm R10kg/mm)。スタビライザーやテンションロッドをはじめブッシュに至るまで手が加えられている。

ブレーキはフロントにブレンボF50キャリパーと355mmローターを、リヤにはMCRオリジナルのブレンボキャリパーと340mmローターをセット。これにニスモRチューンパッド組み合わせ、強力な制動力を得ている。

ホイールはエンケイNT03+M。サイズは18インチでリム幅10.5J、オフセット+22はMCRオリジナルサイズとなる。タイヤは前後にアドバンA048を履く。

室内は非常にシンプルなメイキングだ。マルチファンクションディスプレイをニスモのキットでアップグレード。ブースト圧のスケール変更や油圧、前後&横G表示の他、データロギング機能まで搭載されてるのだ。ロールバーはクスコの5点式を装着している。

トランクルームには2基のボッシュ燃料ポンプとワンオフコレクタータンクが設置される。強烈なGに対しても、常に安定した燃料供給を行える本気の作りだ。

オーナー曰く、BCNR33の方が安定感は高いものの、振り回して走るにはBNR34の方が扱いやすく、乗っていて感じる楽しさも大きいそうだ。

首都高をはじめゼロヨン、ドリフト、峠と、あらゆるステージを走ってきたオーナーは、現在このBNR34でコンマ1秒を削るサーキットでのタイムアタックに熱くなっている。(OPTION誌2013年8月号より)

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