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空力チューンは日本のVOLTEXが全面サポート!
4G63改2.2L+EFR9280タービン+NOSで1300馬力を発生
オーストラリア・シドニーで開催されているWTAC(ワールドタイムアタックチャレンジ)のPROクラスで、前人未到の3連覇(2013〜2015年)を達成。以後、オーナードライブのクラス(PRO-AM)に移って戦い続けているのが、このチルトンレーシングのランエボ9だ。
見どころは非常に多いが、まず注目はボディワーク。以前は純正ボディ+ワイドフェンダーという構成だったが、クラッシュを機に各部をチューブフレーム化し、軽量化と高剛性化を推進。切除された部分の総重量は160kgにも及んだというから恐れ入る。
エンジンは4G63改2.2Lフルチューン仕様で、ボルグワーナーのEFR9280タービンに2.5キロものブーストをかけて1100psオーバーを発揮。オイル供給方式はドライサンプとし、まさにレーシングカーさながらのメイキングが施されている。
そこにウエットショット式のNOSによるドーピングで、200psのエクストラパワーを獲得。つまり、NOS噴射時の最高出力は1300psに到達しているのである。制御は、EMトロンのKV8というフルコンで綿密に行なっている。
ミッションはホリンジャーの6速シーケンシャルを採用。操作はIパターンからパドルシフトに変更し、EMトロンのフルコンによる制御で電光石火のシフトチェンジを可能としている。パワーステアリングも電動式だ。
サスペンション形式は、ノーマル同等のストラット&マルチリングをキープ。車高調はMCAのレース用4ウェイ、ブレーキはAPレーシング製のコンパクトな軽量モデルだ。
当然ながらアーム類も全て変更され、延長&取り付け位置の見直しによりメカニカルグリップを極限まで引き出す策が講じられている。
空力関係はチームが全幅の信頼を置く、日本のボルテックスが担当。超大型のスポイラー類を装備するが、これでも空力を高めすぎないようにバランスをしっかりと考慮した設定とのこと。
もちろん大半のパーツは超軽量なドライカーボン製だ。アタック時のダウンフォースは最大3000キロに達するというからハンパではない。
ホイールはウェッズスポーツのTC105X、タイヤは前後295/35-18サイズのアドバンA050を装着する。
2022年のWTACでは、メカニカルトラブルに見舞われたものの、PRO-AMクラスで見事に優勝。世界最速のランエボが、どこまで勝利数を伸ばしていくのか楽しみだ。