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Mシリーズ屈指の名車を自分色に染め上げる
ラグナセカブルーが眩しいサーキットスペックのE46M3!
30歳(取材時)を迎えたオーナーが、“サーキットを存分に楽しめるストリート仕様”というコンセプトに沿って大切に仕上げたE46型M3。それが今回の主役だ。
「僕の乗り物人生は原付スクーターからスタートして、レーサーレプリカ系、そしてEP91スターレットで4輪に乗り始めました。元々、輸入車は嫌いで知識も無かったんです。だけど、先輩が乗るE46のカブリオレに一目惚れしちゃって(笑)。この型の速いモデルに乗ろうと思って調べたらM3に行き着いたんです」。
憧れから始まったというM3ライフだが、その第一印象をオーナーに尋ねると「今でこそ気に入ってますが、前のスターレットがハイフロータービンの180ps仕様だったこともあって、“なんてトロい車なんだ”って思いました(笑) 電子制御スロットルも、慣れるまではとにかく嫌でしたね」という意外な回答が。しかし、不満点はチューニングで改善していけば良いわけで、オーナーの原動力もまたそこにある。
富士スピードウェイ等の国際サーキットを走るチューンドとして仕立てられているため、エクステリアを覆うエアロパーツ類も性能重視でのチョイスが光る。
フロントセクションには、DTMファイバーワークスのフロントカナードをセット。さらにフロントタイヤの前方には、高速回転するタイヤと走行風の接触を防いで空気抵抗を低減するためのスプリッタープレートも導入されている。
ボンネットはKITAMOプロジェクトのカーボン製。E46型M3の頂点に君臨する“M3GTR”を彷彿とさせるデザインのアウトレットダクトがレーシーだ。
サイドミラーは、空気抵抗低減を狙ってダンガンレーシング製をチョイスする。
大型のGTウイングは、関西の名門ショップ“エスプリ”のハイマント仕様だ。強烈なハイダウンフォースを発生させるが、オーナーは富士のストレートなど高速域で発生する微妙な横揺れを嫌ってワイヤーでの補強も行なっている。
足回りはアラゴスタのタイプE車高調(F7kg/mm R9kg/mm)でセットアップを進め、アーム類はサスペンションに入力される負荷に対して、リニアに足を動かすことを目的に各部をピロ化。マウント関係もリジット化を進めており、今後はスプリングレートを16kg/mm+20kg/mmに変更する予定とのこと。
ブレーキは前後4ポット構成のブレンボグランツーリスモキットを、ボディ同色のラグナセカブルーにペイントして導入。ホイールは18インチのボルクレーシングTE37SL(F9.5J+22 R10.5J+20)だ。なお、フェンダー内部は干渉する箇所を切除することで、このローフォルムのままで全開走行できるようにしている。
インテリアは快適装備を残しつつも、不必要な内装パーツを撤去するなど軽量化を敢行。ミッションは純正6速、ステアリングはMOMOだ。
究極のホールド性を求め、シートにはレカロのSP-Gプロレーサーを装着。無骨なサイドバー付きロールケージはWIECHERS(ヴィヒャーズ)の製品だ。リヤシートも撤去され、非常にスパルタンな仕上がりを見せる。
E46型M3が搭載するエンジンは、今なお名機として語り継がれる3.2L直列6気筒のS54だ。その素材を生かす形でK&NのインテークシステムとaFeのフルエキゾーストを投入し、官能的なフィーリングに磨きをかけている。
「購入してから6年間で11万km乗りました。もうすぐ18万kmに届きそうですけど、今のところ壊れそうな予兆は一切無し。もし壊れたら、そのタイミングでエンジンチューニングしようと画策中です。Mシリーズ最後の自然吸気・直列6気筒搭載モデルなので、楽しみつつ大事に乗っていきたいですね」。
貴重なベース車両のため動態保存に入るオーナーが多い中、そんなことはお構いなしで走ってイジり倒す。何より、誰が見ても素直に“カッコ良い”と思わせるマシンメイクは、オーナーのセンス有ってこそのものだろう。サーキット仕様としてさらなるステップアップが予定されているだけに、今後の発展が非常に楽しみだ。
PHOTO:市健治