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ボディワークと足回りのセットで超速コーナリングマシンに変貌!
ハイカムによるパンチ力でポルシェすら凌駕するS2000
2.2Lの排気量からくるトルクフルな特性が魅力のAP2をベースに、ジェイズレーシング仕上げたのがこのマシン。「パワーよりも鋭いハンドリングレスポンスを」というオーナーの要望を実現するためのメイキングが各部に施されている。
足回りはクラックスベースのSPLダンパーを軸に構築。スペックには表れないが、前後サブフレームは強度を高めたオリジナルに変更されていたり、フロントアッパーアーム付け根のクラックが入りやすい部分はガゼットプレート補強するなど、走るために必要な部分にはキッチリと手が入っている。
その他、ピロコントロールアームやキャンバージョイントL2、ピロタイロッドエンドなどオリジナルパーツを多数装着している。
駆動系チューンも抜かりはなく、ドライブシャフトスペーサー、デフディスタンスカラーなどを駆使し、S2000のウイークポイントである駆動系の強化を図っている。
LSDは1.5ウェイを装備し、性能を安定発揮させるためのデフオイルクーラーも装着。これにより、真夏のサーキット走行でも120〜140度(クーラー無しだと220度)で落ちつくようになる。ちなみにファイナルは加速重視の4.7だ。
S2000はオープンボディであるためシャシー剛性の向上は欠かせない。この車両もセーフティ21をベースとしたサイドバー付き9点式ロールケージを組み込み、ピラー部は溶接でしっかりと固定。車体とロールケージが一体となった強靱なボディを生み出している。
一方のエンジンは、オリジナルのツチノコチャンバーやSPLエキマニ、FXチタン70RSマフラーなどで吸排気系をブラッシュアップ。そこに、腰下やヘッドがノーマルのエンジンでもポテンシャルを引き出せるカムとして、戸田レーシングのA2カムを組み合わせている。
ハイカムの導入に伴い、VTECの作動ポイントもノーマルの5850rpmから5400rpmに変更。それによって、ノーマルでは低速カムから高速カムへの切り替わりで発生するトルクの落ち込みを綺麗に消している。同時にレブリミットは8000rpmから8600rpmにアップし、実測で270psをマークする。
高回転域の多用にも対応させるため、ローテンプサーモスタットや大容量ラジエターの導入でクーリングチューンも徹底。
エクステリアはジェイズオリジナルのタイプSで武装。リヤのGTウイングは強大なダウンフォースを発生させるダブルフラップタイプだ。軽量なカーボントランクとの組み合わせで、リヤビューの引き締めにも貢献している。
快適装備をフル搭載のインテリア。追加メーターはセンターに3連でインストールする。扱いやすいエンジン特性やハンドリング含め、ストリートユースを最重要視したユーザーライクな仕上がりだ。
ウィークポイントを効果的に克服しながら、S2000の生命線でもあるコーナリングの切れ味を研ぎ澄ませたこの仕様。オーナーのホームコースでは、これまでライバルだったポルシェケイマンなどを打ち負かすほどの速さを実現している。老舗のチューニングテクニックが光る1台だ。
●取材協力:ジェイズレーシング TEL:072-645-3500
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