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最速を目指してアップデートを続けるフレンズS15シルビア
レコードブレイカーへの挑戦はまだ終わらない!
生粋のパワーチューナーとして知られる“フレンズ”の猪瀬代表は、SRエンジンにおいてもそのスタンスを変えることはなかった。SR20改2.2L仕様にT88-38GKを組み合わせて、1000psを発揮するS14ドラッグマシンを製作したかと思えば、そのまま仙台ハイランドのドラッグコースに乗り込んで、ラジアルタイヤ装着のFR車におけるレコードタイムを樹立。
その後も最高速やD1グランプリなど様々なカテゴリーに挑戦し続け、ノウハウを蓄積。そして近年、新たなステージとして選んだのがサーキットでのタイムアタックだった。
最終的なターゲットを富士スピードウェイと定め、マシンメイクをスタートしたのが2012年のこと。当初は1トン近くまで軽量化したボディにハイパワーユニットを搭載することで、究極的な速さを追求した。
その心臓部に収まるのは、東名パワードのムービングパーツによって2.2Lまで排気量をアップしたSRユニットだ。ヘッドには可変カム機構を備えロッカーアーム飛びの心配もないVEヘッドを搭載し、290度という強烈なハイカムを投入。さらに理想的なオイル循環を求めて、ウエットサンプを捨てドライサンプ化も敢行した。
タービンは当初T88-33Dを組んでいたが、現在は米プレシジョンターボをテストしている。2.2LのSRには大きめのサイズだが、VEヘッド化とNOSのチカラで全域でストレスのない加速を実現。NOSはブースト1.0キロ以下、アクセル開度90%以上の3000〜6000rpmで噴射されるよう、LINK(フルコン)で制御している。ミッションはホリンジャーのシーケンシャルだ。
点火チューンはフレンズ猪瀬代表の拘りでもある。各気筒ごとに独立したイグナイターとコイルを配したオリジナルの点火システムを構築し、高回転域での失火を防止する策を取っている。熱害を嫌って室内にマウントしているのも特徴的だ。
トランク部分は軽量化のためにフロアをバッサリとカットし、燃料タンクは20LのATL製を室内に設置。どんな状況でも安定して燃料を供給できるよう、フューエルラインは新規製作している。
その後、サーキットでトライ&トライを繰り返す中でダウンフォースの重要性を再確認し、空力パーツを本格導入。結果、1170キロまで車重は増加してしまったものの、ダウンフォースを活かす方向のサスセッティングを進め、タイムはどんどんアップしていった。
2016年春の筑波アタックでは、各部のアップデートがプラス方向に作用し、55秒2というタイムを記録。しかしこれはエンジンが不調の状態でのもので、猪瀬代表いわく「不本意」な結果だったそう。この時の原因は純正クランクキャップの破損。じつはこのトラブル、走行前から想定されていたもので、すぐにビレットクランクキャップを導入した。
そうしたトラブルシュートを施し挑んだ再アタックで、見事に筑波サーキットでのチューニングカー歴代11位(2022年7月現在)となる53秒821を記録。また、スポーツランドSUGOではFRチューニングカーのレコード、1分21秒058という金字塔も打ち立てたのだ。
とはいえ、フレンズのシルビアにとってこれらの記録はあくまで通過点に過ぎない。2017年に入って、サスペンションを大改造。50mmのロングスパンアームを投入してメカニカルグリップの向上を狙ったのである。車高調はアラゴスタベースのオリジナル減衰仕様でバネレートはフロント28kg/mm、リヤ36kg/mmが基準値だ。
タイヤは以前はアドバンA050だったが、2019年からフュージャーに変更。サイズはフロント315/30-18、リヤ335/30-18という強烈なサイズだ。ブレーキはフロントにエンドレスのモノブロック6ポットを、リヤにはBCNR33純正を投入している。
さらにエクステリアもT&EのVERTEX・RIDGEをベースに、前後フェンダーを50mm拡大したオリジナル仕様を開発。ダクト関連は必要な部分は増設しながらも、タイムアタックにおいてドラッグとなる部分はふさいでいる。カナードや大型のアンダーパネルなどもフレンズによるワンオフ品だ。
GTウイングは2枚板仕様で、抵抗を抑えながらダウンフォースを効果的に発生させる。アルミステーを使っていた時期もあるが、一度ダウンフォースにより破損するトラブルが発生したため、以降はクロモリ鋼を使用。さらにリヤメンバーに直結させて強度を確保している。
こうしたチューニングはすべて、最終目標である筑波51秒台、富士スピードウェイFRチューニングカー最速の称号を手にするために他ならない。そう、このマシンの戦いはまだ終わらないのである。
●取材協力:フレンズ 栃木県下都賀郡野木町大字友沼6602-4 TEL:0280-54-1650
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