「SMGのストリート仕様でもここまでやれる!」E46型M3で筑波に挑むプライベーターにズームイン

エンジンは吸排気チューンのみの360馬力仕様

オーナー自らのDIYメイキングも必見だ

今回紹介するのは、日本一のタイムアタックイベント“Attack筑波”に参戦していたE46型M3。元々はランエボIIでモータースポーツを楽しんでいたというオーナーが所有する、SMGミッション搭載のチューンドだ。

3.2LのS54B32エンジン内部は完全なるストック状態。吸気系はグループM製ラムエアキットをセットし、排気系は純正EXマニ+サクラム等長フロントパイプ、センター以降をラウズレーシング製ワンオフフルチタンマフラーで構成。ここにサンビームのECUチューンを組み合わせて360psを発生させる。駆動系では、ノーマルクラッチにフカガワモディファイ製の軽量フライホイールをセットしてレスポンスアップを図っているのがポイントだ。

サスペンションはフロントがエナペタルE12(14kg/mm)、リヤがアラゴスタタイプS(20kg/mm)という前後で異なる仕様。「元々は前後アラゴスタでしたが、E46M3はフロントのストローク量が少なく、空力重視の車高を下げたセッティングでは底づきしてしまうんです。なので、アッパーマウントをなるべく薄く作ってくれるエナペタル製の車高調に変更しました」とオーナー。

ブレーキは前後ともにブレンボキャリパーをセット。ホイールはBBSのDTMベースのスペシャル品(10J+35)で、タイヤはアタック本番ではフージャーDOTラジアルA7の295/30-19サイズを使用した。

室内はスパルタンなシングルシート仕様だが、ストリートカーということでエアコン等の快適装備はキープ。シートはレカロのプロレーサーSP-Gだ。E46M3はそもそものボディ剛性が非常に高いということもあり、現状ではロールケージや補強バーの追加といったボディ補強は一切行われておらず、車重は1350kgまでシェイプアップされている。

ミッションは6速MTではなく2ペダルのSMGだ。メカニカルな部分はノーマルだが、サンビームの手によるDME書き換えによって、シフトアップスピードの向上と鋭いブリッピングコントロールが行われている。

エクステリアは独創的の一言に尽きる。フロントを覆うエアロパーツは、ランエボX用のカナードにオーナー自作のアルポリック(アルミ複合材)製アンダーパネルを組み合わせたもの。セッティングや重整備以外は、なるべくオーナー自らの手でマシンメイクを進めているというから恐れ入る。

ボンネットはWethje(ヴェティエ)社製のカーボンボンネットをベースに、ワークショップ匠製のダクトを追加したスペシャル品だ。ちなみに、ヘッドライトもドイツ本国のレーシングカーを参考に、低グレードモデルに採用されていた純正品に交換することで軽量化を図っている。

リヤウイングはボルテックス製のFD3S用。パッと見は大型だが、ストリートカーらしく車検対応サイズに収められている。

これまでのベストタイムは1分2秒572。取材当日は2秒切りを目標に掲げてのアタックとなったが、気温などのコンディションに恵まれず1分3秒台に終わった。

今後はボディパーツの軽量化や快適装備の撤去によって1200kg台まで車重を落としつつ、サーキット用に割り切ったエアロパーツの導入を検討しているとのこと。エンジン本体ノーマル+SMGで筑波に挑み続けるこのM3の躍進に期待しよう。

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