「この加速力はヤバい!」三菱GTOのチューニング適性の高さを示した超トルク型スペック

超トルク重視のチューニングで車重をものともしない怒涛の加速!

珍しい三菱GTOの本格チューンドが登場だ。500馬力オーバーまで戦闘力を高めた心臓部もさることながら、ウィークポイントである駆動系を守るためのパーツ選びやセットアップにも注目だ。(OPTION誌2004年11月号より抜粋)

アメリカンな乗り味を追求した新感覚チューンド

マッシブなスタイリングと、それに負けない迫力ある走りがコアなファンを惹き付けてやまないGTO。ノーマルで43.5kgmものトルクを誇る6G72エンジンは、チューニングに対する耐久性も非常に高い。

実際、ブーストアップのみでゼロヨン12秒台前半が可能というから驚きだ。超トルク重視マシンに仕上げる素材としては、国産車の中でダントツと言えるほどの適性を持ったGTOだが、今回紹介する“オートガレージY’s”のマシンは、まさにその好例だ。

エンジンは、純正2mmオーバーサイズの93φ鍛造ピストンで3.1L化。ピストンやピストンリングは表面コーティングを行い、フリクションロスを低減している。

ヘッド周りでは燃焼室加工やポート研磨の他、メタルヘッドガスケットや加工カムが組まれる。タービンがTD05までならエンジンはノーマルのままで問題無し。それ以上となると、8000rpmオーバーまで使う必要が出てくるため、エンジン内部まで強化を行わなくてはならないという。

このマシンのタービンは純正のTD04H-9Bをベースに、インデュース径やコンプレッサー容量の拡大、ブレードの大径化といった加工を施したTD04H-13G改。これはタービンに負担をかけず、キャパシティ面での余裕を持ったままの500psを実現するための手段だ。これでブースト圧1.35キロ時に510psの出力を実現する。

F-CON Vプロによって燃調と点火時期をコントロール。同時に純正のカルマン渦式エアフロをキャンセルし、Dジェトロ化することで吸気抵抗の低減も図られている。ちなみに、燃料系はニスモのGT-R用フューエルポンプと550ccインジェクターでハイパワー化に対応している。

フロントパイプはHKSの75φで、オートガレージY’sのオリジナルブランドとなるDAPスポーツキャタライザーが組み合わされる。

マフラーは5ZIGENの304マックス。メインパイプ径は89φでテールエンドは115φの砲弾型だ。

高回転域での吸気効率を考えると、エアクリーナーはタービン1基に対しひとつの、計ふたつを装着するのが理想的。しかしエンジンルームにスペース的な余裕がないGTOでは、バッテリーの移設が必要になるなどの手間がかかるということでエアクリーナーはひとつで対応している。

インタークーラーはトラスト製のGT-R用3層タイプを使用。パイピングはピットロードM製のものをベースにしたオリジナルだ。ラジエターはアルミ3層、オイルクーラーはラジエター前に置くタイプのHKS製を装備している。

サスペンションはテインのタイプHAにフロント12kg/mm、リヤ10kg/mmのスプリングをセット。ブレーキは、フロントにGREXアルコンの4ポットキャリパーキットを装着。リヤはローターのみエンドレス製に交換している。

なお、前期GTOのブレーキ強化では、後期型17インチモデルのものを移植するか、フロントのみAP製6ポットキャリパー装着というパターンがお勧めとのこと。

小ネタ的なところではあるが、GTOは右ハンドルの国内仕様車であってもブレーキマスターシリンダーは助手席側にセットされている。ここからもGTOというクルマが左ハンドルの海外仕様車をメインに設計されたということが分かる。

GTOの弱点と言えるのが駆動系。とくに前期型に搭載される5速MTは、1速での最大トルク発生回転付近でブローすることが多いという。そこであえてシングルプレートクラッチを装着したり、フロントLSDの効きを弱くするなどしてパワーを逃がすような対処法を取る必要がある。また、プロペラシャフト中心軸のズレやジョイント部の破損などもよく見られるトラブルだ。

ダッシュボード中央部にはアペックスの水温、油温、排気温計が並び、その上にレブスピードメーターをセット。ブースト計はダッシュボード右端に取り付けられている。

シートは運転席、助手席ともにレカロのSR-2に交換。リヤシートは軽量化のために取り外されているが、それ以外の内装トリムはノーマルのままだ。ロールバーはセーフティ21の5点式。その他ボディ補強としてはフロントにDAP-TECのスペシャルタワーバー、リヤにクスコのタワーバーが装着されている。

ヘッドライトは純正のリトラクタブルから最終型の固定式に交換した上でロービームをHID化。GTOはどのモデルにおいてもヘッドライトの光量が足りないため、夜間の走行を考えるとHIDの装着は必須だ。

GTOの力強いスタイリングにも負けないデザインを…、ということでホイールは18インチのワークマイスターS1をチョイス。ブルーメタリックのボディに合うようにゴールドスポークのものを選んだという。組み合わせるタイヤは245/40サイズのポテンザRE540Sだ。

前期型ベースではあるが、フロントマスクは最終型のものをごっそり移植して後期化。フロントバンパースポイラー、ボンネット、サイドステップ、リヤバンパースポイラーはピットロードM製。エアロミラーはボズスピード。リヤウイングはアドバンスのものをベースに加工したもの。さらに中期型のリヤガーニッシュを移植とエクステリアはほぼ全てに手が加えられている。

走行性能アップに伴ってフェンダーのワイド化も実施。前後ともに純正フェンダーをベースに加工し、フロントが片側20mm、リヤが片側25mmのワイド仕様としている。

気になる走りの質は、4000rpm〜6000rpmで発生する67kgmもの大トルクで重量級ボディを蹴り進める超アメリカンな乗り味。1700kgもの車重を忘れてしまうほどのパワフルさである。

生まれ持った資質を活かす方向で鍛え抜かれた美しいGTO。非常に魅力的な仕上りだ。

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