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600馬力を使い切るナイトクルーズ専用機!
ストリートスペックながらホリンジャー6速まで組んだ本気仕様
快適性を損なうことなく、ストリートからサーキットまでオールマイティに使えるチューニング。GT-Rの中でもBNR34の場合は、とくにその傾向が強い。この車両も、もちろんチューニングの方向性としては変わらない。ただ、その目的が極めて特殊なのだ。
そもそもオーナーがBNR34を手に入れたのは、純粋にドライビングを楽しみたかったから。サーキットでタイムを競うとか、だれかと連んで走るとか、そういうことには全く興味がなかったオーナーは、自分の居場所を深夜の高速道路に見つけることになる。というより、それ以外でBNR34に乗るのはメンテなどでショップにクルマを持ちこむ時だけ…というほどの徹底ぶりだったりする。
他にクルマも見当たらない深夜の高速道路で楽しむのは超高速クルージング。このBNR34は、実はそのためだけにチューニングされているのだ。
エンジンはHKS2.8Lキットに、東名パワードのハイカム(IN/EX260度 9.1mmリフト)とTO4Rタービンを組み合わせた仕様。取材時は燃料ポンプの容量不足でブースト圧を最大1.3 キロに抑えられていたが、それでも600psをマークする。制御はF-CON Vプロだ。
エンジンの仕様変更と同時に換装されたホリンジャー6速シーケンシャルミッションも見どころだ。強度や耐久性で言えば、純正ゲトラグの完成度はかなり高い。ただし、オーナーが走らせる速度域では5〜6速で大きく離れたギヤ比がネックになる。
「ホリンジャーなら6速でも加速感が鈍らないし、いかにもチューニングカーらしい独特のシフトタッチが“その気”にさせてくれるのもお気に入りです」とのこと。
速度域がハンパでないため、ブレーキ強化は要チューニングポイントのひとつ。フロントブレーキは、ブレンボ8ポットキャリパーにエンドレス380mmローターという組み合わせで、十分な制動性能を実現している。
サスペンションはニスモの車高調(FR10kg/mm)をセット。さすがに超高速域だとダンパーの収束性が今ひとつとのことで、もっと高速域にターゲットが絞られたサスキットを物色してるそうだ。
万が一の事態に備えて組まれたダッシュ貫通タイプのロールケージはオクヤマ製。サイドバーやリヤクロスバー、メインアーチ左右を繋ぐバーなどがフルに張り巡らされた16点式だ。
チューニングを手掛ける“ディサイド”の小笠原代表いわく「もちろん普通に街乗りもできますけど、基本はピークパワー狙いの高回転仕様です。ブーストが立ち上がるのは4000rpm。その後5000rpmでフルブーストに達し、6000〜7500rpmがパワーバンドです。ただRB26は、その上まで引っ張ってシフトアップした方が速いので、常用回転数は8000rpmになりますけどね」とのこと。
全てを解放して純粋にスピードを求める自分だけの時間。時計の針が午前2時を回る頃、BNR34は目を覚ますのだ。
●取材協力:車工房ディサイド 福岡県行橋市二塚104-1 TEL:0930-24-2666
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