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480馬力を活かしたトータルチューニングで鈴鹿を攻める!
老舗エスプリらしい質実剛健のメイキング
このランエボVIII(8)は、鈴鹿クラブマンレースに参戦するオーナーが走行会やフリー走行を楽しむために製作したマシンだ。手がけたのは名門“エスプリ”。
「本物の速さはレーシングカーで徹底追求すれば良い」と割り切り、快適装備を残したままのストリートスペックの延長線上で製作が進められた。
しかし、いくらストリート仕様といっても「仕上げにおける妥協は許されない」というのが、老舗実力派チューナーの本音。シェイクダウンでギヤ比が全くあっていなかったにも関わらず、鈴鹿サーキット2分17秒台を記録したというから、その速さはハンパではない。
マシンメイキングにあたっては、スポット溶接増しなどの大掛かりなモディファイは極力避け、ボディ剛性は前後タワーバーと4点式ロールケージの装着だけ。パワー系については東名パワードのキットで排気量を2.2Lまでスケールアップすると同時に、GT3037Sタービンをインストール。F-CON VプロおよびEVCによる綿密な制御によって、ブースト1.5キロ時に480psを発生させている。
フロントバンパーの右側ダクトには大型のオイルクーラーを設置。ダクト内にはコアまでキッチリとエアガイドを製作し、走行風を無駄なく冷却に使えるようにされている。
また、コーナー旋回中の燃料ポンプからのエア吸い込みによる息つぎ症状を解消するため、トランク内にコレクタータンクを設置。残量が少なくなってもガソリンを安定的に供給できる。ボディの軽い状態でのタイムアタックなどに有利だ。
足回りは、HKSハイパーマックスダンパーPRO(F16kg/mm R14kg/mm)をチョイス。ブレーキ系については、フロントにエンドレスの6ポッドキャリパーを装着し、前後のブレーキローターを大径化。強力な効きと安定したペダルタッチで、やはりボディ重量のハンデの克服に努めている。LSDはフロントがクスコRS、センターがクスコ強化ビスカス、リヤが純正強化となっている。
フロントセクションのエアロパーツは空力特性を最優先。Cウエスト製エアロバンパーにリップスポイラーおよび大型カナードを追加し、フロントタイヤの接地性を高める。
さらに、ワイドボディ化によりトレッド幅を広げ、GTウイングの相乗効果でコーナリング時のメカニカルグリップをアップ。組み合わせるタイヤはポテンザRE55S(265/35-18)だ。
エスプリらしい無駄を省きつつ的を得たチューンの積み重ねにより、生粋のレーシングカーに迫る速さを引き出すことに成功したのである。
●取材協力:エスプリ 三重県鈴鹿市住吉3-19-1 TEL:0593-70-8080
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