「さすがは自由の国!」おかしなカスタムバギーが大量発生【ボンネビルSPLレポート-後編-】

ホリデーバギー型? それとキューベルワーゲン型??

レジャービークル感は満点

ビートルのシャシーにFRPボディを載せたオープン2シーターモデル。ホリデーバギーやサンドバギーなどと呼ばれるが、正しくは“デューンバギー”という(らしい)。ドアもなければ屋根(幌)もないという奔放さがいかにもアメリカ的で、街でも走っている姿を見かける西海岸だと年間降水量も少ないため日常的に使えるクルマだったりする。さらに、ボディ色も実にカラフル。ここで紹介しているだけでも赤に黄色に水色に…と、見ているだけで楽しい気分にさせてくれるクルマだ。

ラジエターやウォーターラインなどが不要な分、水冷エンジンよりもシンプルな構造となる空冷フラット4。ビートルベースのバギーカーが多いのは、その辺りに大きな理由がありそうだ。

ダッシュボードなどというものは存在せず、必要最低限のメーターが装着されるのみ。たしかに、走る分にはこれで十分だ。

ボディメーカーは数社あり!

パッと見は似ているが、ディティールが微妙に違うボディ。アメリカにはメーカーが複数存在し、ボディのみからコンプリートカーとしての販売まで行っていたりする。要するに、海の向こうではそれだけデューンバギーがメジャーということだ。この3人は、パラソルで陽射しを遮ってレースを観戦中で、「クルマ撮らせて!」と頼んだら「もちろんOK!!」との返事。実にアメリカンなワンカットだ。

キャブターボ仕様発見!!

無理やり自転車を載せている姿が笑える1台だが、後部セクションを見るとボルトオンターボ仕様のエンジンが…。それもキャブターボで、細部フィニッシュを見るかぎりDIY感が満載。速さを求めても仕方ないクルマだろうが、乗れば間違いなく面白いはず。とにかくオーナーは、パワーアップせずにはいられない生粋のチューニング好きと見た。

ボディの一部をカットしてタービンを装着。コンプレッサーハウジングには“NISSAN”のロゴが確認できる。しかも、ブースト圧はアクチュエーターでなくウエストゲートでコントロールだ。

軍用車そのままの仕様か?

ヘッドライトの位置がわずかに後退しているが、当時のスタイルをそのまま残していると思われるキューベルワーゲン(タイプ82)。フルレストア済みで程度は極上、マニアからすれば垂涎ものだろう。とにかく70年前の特殊車両が現存していることに、アメリカにはクルマ文化が根付いていることを実感した次第だ。

エンジンも下回りも新車並みのコンディション。悪路での走行を想定した軍用車だけあって、オイルパンの下にはアンダーガードが設けられている。

メーターはスピードメーターのみ、シートもスチールパイプに紐で布を張っただけの簡素なもの。スパルタンで、まさに“戦うためのクルマ”といった雰囲気だ。

フラット4でも水冷のEJ25を搭載!!

キューベルワーゲンの後継モデルで軍用の他、民間用も生産されたクーリエワーゲン(タイプ181)のワイドボディ&ワイドトレッド仕様。カモフラージュカラーが軍用を連想させるが、この車両の見どころはずばりエンジンだ。

フラット4だが、どこか見覚えのあるタイミングベルトカバー…、そうスバルEJ25を換装しているのである! ポルシェの空冷フラット6を積んだビートルは過去に見たことあるが、まさかこんな刺激的な仕様があるとは…。衝撃的だ。

タイミングベルトカバーに“SUBARU”のロゴを発見。空冷フラット4だとキャブが装着されるところにインタークーラーがセットされ、ボディサイドからダクトで走行風が引き込こまれる。

タービンはアメリカのプレシジョン製に交換。2.5Lで低中速トルクは十分で、オーナーいわく「ピークパワーも300psくらいは出てるかな」とのこと。

ノーマルはこんなスタイル

60年代末から80年代前半にかけて生産されたクーリエワーゲン。民間用の市販車もラインナップされたため、軍用車だったキューベルワーゲンに比べると、ずいぶん近代的なスタイルになった。ただし、角張ったボディは四隅の見切りを考えてのことだし、可倒式フロントウインドウや工具レスで取り外し可能なドアを採用するなど、機能性を第一に考えた設計であることはキューベルワーゲンと変わらない。

●PHOTO&TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)/ボンネビルスピードウィーク2010より

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