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車重1160kg÷出力1200馬力=0.97!
スピードランキング最速を誇るJZZ30ソアラ
2019年10月に行われたWTAC(ワールドタイムアタックチャレンジ)でPRO-AMクラス3位に輝くなど、圧倒的な速さを誇る“AutoBahn常陽不動産JZZ30ソアラ”。
ホームコースの筑波サーキットにおいても52秒454を記録しており、最速争奪戦に名乗りを上げている。1100kg台の軽量ボディと1200馬力の超パワーのコンビは強烈で、いつレコードブレイクしてもおかしくない状況だ。
エンジンはポート形状の優れたNAヘッドを組み合わせた2JZ-GTE。ノーマルクランクにキャリロのコンロッド、HKSの87φピストンなどを組み合わせ、高回転での負荷が少ない3.1L仕様を製作。
タービンはギャレットG42-1450タービンをセットし、最高出力は1200psに到達。燃料はアルコール系のE85だ。さらにスロットルはフライバイワイヤの電子式とし、モーテックM800でアンチラグをはじめとする制御を実装している。
重量配分はこれまで60:40とフロントヘビーな状態だったため、ラジエターをリヤシート付近に移設。助手席から走行風を取り込んでリヤトランクのダクトから排出する仕様だ。これにより前後重量バランスは55:45まで改善され、驚くほど旋回性能が向上したという。
ミッションは、オーストラリア製の最新モデル“アルビンス”のシーケンシャルを採用。操作はIパターンからパドルシフトに変更し、モーテックM800による綿密な制御によって電光石火のシフトチェンジを可能としている。
足回りは、スピリットの車高調を軸に構築。アーム類は当然フルピロの調整式でアライメントを最適化している。
ブレーキはフロントがブレンボでリヤがエンドレスという構成。パーツ選びのポイントは性能だけでなく、単体での重量も加味して行なっているとのこと。ホイールはボルクレーシングTE037、タイヤはアドバンA050の295/35-18を通しで履く。
ボディはルーフやリアクォーターまで含めて、ほぼ全てドライカーボン化が完了。これら軽量マテリアルの投入を軸に軽量化を推進し、1600kg近い車重を1160kgまでシェイプアップ。400kg以上も贅肉を削ぎ落としているのだからハンパではない。
このスーパーチューンドの速さはラップタイムがすでに証明しているが、尺度を“バックストレート最高速”に変えてもそれは変わらない。200km/h出れば速いと言われる短い直線区間で、何と250km/hオーバー(252.572km/h)に達しているのである。これもまた、パワーウエイトレシオ1kg/ps以下の超性能が成せるパフォーマンスの一つと言えるだろう。