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心臓部はRB26改2.8L+GT-RSツインターボ+NOS
タイトコーナーに合わせた仕様変更でショートコースでの速さを狙う
名門チューナー“ガレージ八幡”が製作したBNCR33は、小径タービンにNOSをプラスした600psのサーキット仕様だ。以前は鈴鹿や岡山国際などの大型コースをターゲットにしていたが、現在はタイトコーナーが多い鈴鹿ツインサーキットに絞って煮詰めているというから興味深い。
心臓部のRB26DETTは、HKSのキャパシティアップグレードキットに東名パワードの272度ハイカムを合わせた2.8L仕様で、タービンには小ぶりなGT-RSツインをチョイス。パワーよりもレスポンスアップを重視したチューンドユニットというわけだ。
第二世代GT-Rのサーキット仕様にとっては定番とも言えるGT-RSタービンは、ボールベアリング式ならではのハイレスポンスが魅力。RB26との相性も良く、廃盤になった今もなお人気が高いタービンだ。
ブースト制御はガレージ八幡らしさ全開。コントローラーにはブリッツのSBCi‐DIIIを使用し、オプションのMAPアナライザーを使って、車速&回転数&アクセル開度による綿密なブースト設定を実行。高速サーキットでは1.7キロにしているが、鈴鹿ツインでは60km/hまでは1.3キロ、60〜100km/hまでが1.5キロ、100km/h以上で1.7キロと、速度に応じて変化させている。これによってタイトコーナー脱出時も振り回されることなく、マイルドに立ち上がっていけるようになったそう。
さらに、ドーピングアイテムとしてウエットショット式のNOSも追加。単純なスイッチ制御ではなく、電子制御によってアクセル開度や回転数などの条件が揃った時にのみ噴射するようにセッティングされている。
走行風が十分に確保できない低速域からハイパワーを発揮するNOS仕様。そのため、オリジナルのアルミ3層ラジエターとツインオイルクーラーを装備して高い冷却性を確保している。
そしてミッション。この車両は試験的にホリンジャーの6速ドグを投入しているが、2速ギアを1.7から2.2へ、ファイナルギアを4.1から4.3へとそれぞれ変更し、低速域を重視したギア比のセッティングを施している。
足回りはアペックスN1ダンパー(F14kg/mm R12kg/mm)を軸に構築。 アーム類はニスモに変更し、ブッシュもフルピロ化。ダンパーは吊るしのままで、特殊な部分はないがスタビやブレーキの強化など要所をしっかり抑えたチューニングがなされている。タイヤはアドバンA048(FR255/40-17)だ。
このチューンドを鈴鹿ツインサーキットで試乗した、レーシングドライバーの和田久選手は「低速域でのブーストを控えめに設定しているそうだけど、もうちょっと上げても良いかも。NOSは凄いね。アクセルを踏み込んだ瞬間にブーストがコンマ5くらい上がった感じ(笑)。ターボみたいにラグがないので低速域からパワフルに立ち上がっていける。それに途中からターボが加わり、スピードが乗ってくるので狙い通りなんじゃないかな。とにかく速いよ」と高評価。
岡山国際サーキットを1分38秒台、鈴鹿サーキットを2分20秒台で周回するこのマシン。今回の試乗では、まだセットアップが完全に決まっていない状態にも関わらず、アッサリと1分02秒5をマーク。潜在能力の高さは言わずもがな、ツボを押さえたメイキングはユーザーにとって参考になる所が満載だ。
●取材協力:ガレージ八幡 愛知県半田市上浜町10-20 TEL:0569-26-1660
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