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東京オートサロン1999で発表されたRE雨宮『GReddy8』のその後
RE雨宮のデモカーを手にした男の物語
このベース車不明のオープンカーは、FD3SベースのRE雨宮コンプリート『GReddy8』のモディファイドモデル。現オーナーがコツコツと自分流のエッセンスを注ぎ込んで仕上げた渾身のスーパーチューンドだ。
1999年の東京オートサロン発表時はピンクだったが、その後にシルバー→ホワイトへとオールペンを重ねながら、インパクトを求めてガルウイング化も敢行。さらにエクステリアもRE雨宮のAC987ボディキットから、スクート製ボンネットやスーパーGT用をベースにしたローマウントGTウイングに組み替えるなど個性を演出していった。
このGReddy8は『ただFD3Sの屋根を切った』だけではなく、プレート補強やスポット増し、ダッシュ貫通のロールケージなど、RE雨宮の独自ノウハウによるボディ補強術が徹底的に敢行されている。そう、オープンボディでもFD3S本来のコーナリング性能がスポイルされないように仕上げられている。
そんなRE雨宮渾身の作を自分色に染め上げるにあたって、オーナーが最も拘ったポイントは、外装ではなく排気系だったりする。「爆音は嫌なんです。で、市販されている静か系マフラーの購入も考えたんですけど、内部に絞りが入っている製品ばかり。パワーをスポイルしちゃうのが目に見えちゃって」とのこと。
そう、パワーを引き上げたチューンドロータリーは爆音仕様になってしまうことが多く、このFD3SもTD06-25Gタービン仕様でしかもオープンカー…。走行中は音楽もロクに聞けない状態だったという。
快適性を追求しつつもパワーは現状の400psを維持したいと考えたオーナーは、結局、市販マフラーの購入を諦め、ロータリーチューンの名門“スクートスポーツ”でオリジナルマフラーを製作することに。そして誕生したのが、FD3S排気レイアウトの常識を覆す、超大型タイコを横置きにした4本出しマフラーだった。
純正燃料タンクの搭載位置を上方向にオフセットさせてスペースを確保し、700mmの超大型タイコを設置。そこから60φの4本出しドルフィンテールを設けている。熱対策もしっかり考えられていて、タイコと燃料タンクの間には遮熱プレートが設けられている。
RE雨宮AC987テールと4本出しマフラーの組み合わせはかなり異色。このマシンのベース車両がFD3Sであることを見抜ける人は少ないはず。
足回りはスクートのスペシャルダンパー(F18kg/mm R16kg/mm)を軸に構築。足元で存在感を主張するホイールはBBSのLM-F1(F18×8.5J R18×9.5J)、タイヤにはポテンザRE-01R(F235/40-18 R265/35-18)を合わせる。
世界に1台だけのコンプリートカーを手に入れて、自分好みにモディファイを重ねていく。非常に贅沢な話だが、これもまたひとつのチューニングカーライフの形だ。GReedy8のさらなる深化に期待したい。(OPTION誌2013年12月号より抜粋)