「競技ベース特有の割り切り感がたまらない!」ブーンX4は生まれながらのボーイズレーサーだった!!

最後のクロスフォーを再考する

競技ベース車両でありながら、ストリートも見据えたモデル展開

ストーリアの後継モデルとして2004年6月に登場したダイハツのリッターカー、ブーン。トヨタにOEM供給され、パッソという車名で販売されたが、ブーンにしかラインナップされなかったモデルがある。それが2006年3月に追加された競技ベース車両のX4だ。

X4自体は先代モデルのストーリアにも存在したが、ブーンX4は936ccの新開発KJ-VET型を搭載。カタログスペックは133ps/13.5kgmをうたった。ミッションは専用設計の5速フルクロスタイプを採用。トランスファーを介して4WDで駆動する。

また、エアコンや電動格納式ドアミラー、キーレスエントリー、14インチアルミホイールなどを標準装備し、モモ製本革巻きステアリングホイールや運転席シートリフターなど内装の質感や機能性も高めたハイグレードパックを用意。競技ベース車両でありながら、ストリートユースも見据えたモデル展開がストーリアX4との違いだ。

ヘッドライトユニットは黒いベゼルが標準のパッソRacy用に交換。アレックス製カーボンボンネットと合わせてフロントマスクの印象を変える。フロントバンパーガーニッシュとアンダースポイラーはトヨタモデリスタ製。

そんなブーンX4に一目惚れし、7年前にハイグレードパックを手に入れたのが倉上さん。K12マーチインパル仕様からの乗り替えで、ブーンX4には通勤や買い物などで毎日乗り、購入時2万8000kmだったというオドメーターは取材時に15万2000kmを表示していた。

「これまで自走できなくなるようなトラブルはありませんでした。ただ、ダイハツ車特有と言われるミッションのシフトリンケージ部からのオイル漏れが発生していまして。パーツ自体は数百円なんですが、交換作業にはエンジンごと降ろしてミッションケースを割る必要があるので、とりあえず様子を見ているところなんです」と倉上さん。

細部を見ていく。超ショートストローク型となるKJ-VET型エンジンは、Kansaiサービス製サクションキットやアレックス製マフラーなどで吸排気効率を向上させている。

足回りはラルグス製車高調をベースにMSGアクティブがセッティング。スプリングレートはフロント8kg/mm、リヤ4kg/mmとなる。サイドステップとリヤスポイラーはパッソRacy用。

ホイールは7.0Jオフセット+30のステルスレーシング15インチ。そこに195/55サイズのアドバンフレバを組み合わせる。また、フロントブレーキはボルトオン装着可能なトヨタbB用キャリパーと、ディクセル製FSタイプ14インチローターで容量アップ。パッドもディクセルZタイプ、リヤシューはRGMタイプに交換される。

取材車両はステアリングホイールやシフトノブが交換されているが、ベース車ブーンとの違いはダッシュボード上にタコメーターが追加されるくらい(トヨタパッソのスポーティグレードRacyには標準装備)。また、左足での操作性を考えてブレーキペダルが幅広タイプに変更され、オクヤマ製フットレストも装着される。

運転席はレカロSRⅢを装着。助手席にはシビックやインテグラタイプR純正レカロに交換される。純正シートはリフターで最も下げてもまだ座面が高すぎるため、スポーティな走りを楽しむにはシート交換が必須だ。

少し試乗させてもらったところ、ターボ4WDなのにカタログ値980kgに抑えられた車重と、ローギヤードなギヤ比&ファイナル比のおかげで1速から弾けるように加速していく。レッドゾーンが始まる7800rpmを目安にシフトアップしていくと2速へは5500rpmで、3~4速へは6000rpmで繋がるからパワーバンドを外すことはない。

ちなみに、ギヤ比は1~2速がストーリアX4と同じ。3速以上はブーンX4の方が低い設定で、ファイナル比が共通なことから、高いギヤでも加速感が途切れない。倉上さんによれば、「富士のホームストレートでは、1コーナーまでだいぶ距離を残して5速で吹け切ってしまいます」とのこと。

確認したところ、5速80km/h時のエンジン回転数は3500rpm。100km/hでは4400rpmほどになる計算だ。このミッションでの高速巡航はなかなか厳しく、逆にこんなギヤ比&ファイナル比を与えたところに、競技での勝利を目指したダイハツの本気ぶりがうかがえるのだ。

■SPECIFICATIONS
車両型式:M312S
全長×全幅×全高:3630×1665×1535mm
ホイールベース:2440mm
トレッド(F/R):1455/1435mm
車両重量:980kg
エンジン型式:KJ-VET
エンジン形式:直4DOHC+ターボ
ボア×ストローク: 72.0φ×57.5mm
排気量:936cc 圧縮比:8.3:1
最高出力:133ps/7200rpm
最大トルク:13.5kgm/3600rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR175/65R14

取材協力:MSGアクティブ 群馬県藤岡市中栗須34-4 TEL:0274-22-6755

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MSGアクティブ
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