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サーキットも存分に楽しめる快速スペック
パワーアップに伴うAT対策も万全!
「ATでも走りを楽しめるスポーツモデルが欲しい」と、2.5LターボのEJ25に5速ATを組み合わせたGRF型インプレッサを手に入れたオーナー。そんなにイジるつもりはなかったそうだが、すぐに吸排気+ブーストアップ仕様へと発展。次第にスポーツ走行にも没頭するようになり、鈴鹿ではサーキットライセンスまで取得したほどだ。
ところがある日、サーキット走行中にエンジンをブローさせてしまう。エンジンをバラしてみると、とくにピストンへのダメージが大きいことが発覚。純正エンジン構成パーツの強度に疑問を持ったオーナーは、トラブルフリーで走り続けていくため、東名パワードの2.6Lストローカーキットを組み込むことにした。
このキットは、EJ25をベースにハードユースに耐えられる強度を確保するための鍛造ピストン、鍛造H断面コンロッド、鍛造削り出しフルカウンタークランクなどで構成されるシステムだ。ストローク量は79mmから83mmとなり、排気量も2457ccのノーマルに対して2593ccまでアップする。
同時にタービン交換も検討したが、製作を担当した“トライアル”と相談した結果、「あまり出力を上げすぎるとATの耐久性にも不安が生まれ、なおかつエンジン特性も唐突になる」と判断。タービンやカムはあえて交換しないことでコストとリスクを抑え、長く乗り続けられるマシンの構築を目指したというわけだ。
また、以前の仕様では制御用のHKSフラッシュエディターはメーカーが用意したフェイズ2データ(プリセットデータ)を使用していたが、パワーライターモードでトライアルが専用データを作成。パワーやトルクの唐突さを抑えながら、徹底的に煮詰めていった。
一方のブースト制御は、EVCを導入して緻密にコントロール。ただし、ATモデルのA-LineはEJ20の2.0Lモデルよりもタービンサイズが小さいため、ピーク値はやや控えめの1.3キロに設定。フラッシュエディターのデータ構築と並行してセッティングを進めることで、フラットで扱いやすい特性を生み出している。
ATFがヒートすると、補正が入ったりシフトダウンしなくなったりするため、ATFクーラーを導入。以前はもう少し小さいコアを使っていたが、真夏の全開走行に耐えられなかったことを理由にHPI製コアへと変更。常に正確な情報を把握しておくため、車内にはデフィのATFテンプメーターも設置する。
足回りはHKSのハイパーマックスを軸にセットアップ。このGRFはタウンユースにも用いるが、岡山国際や鈴鹿といったスピードレンジの高いコースを走ることが多いため、MAX IV GTよりもスプリングレートが高いMAX IV SP(F12kg/mm R10kg/mm)を選んだという。
ブレーキチューンも抜かりなし。片押しのGRF純正キャリパーでは役不足のため、エンドレスのビッグキャリパー+大径ローター(F345mm R332mm)に変更してストッピングパワーを高めている。
シートは何度も座り比べを行い、ホールド感が最もフィットしたレカロTS-Gをチョイス。まずはステアリングの位置を決め、前方向へのスライド量に注意しながらベストポジションを探っていったそうだ。
ホイールは純正で、タイヤサイズも純正と同じ245/40R18をチョイス。銘柄は高性能スポーツラジアルのアドバンネオバAD08R(FR245/40R18)だ。
なお、現在のスペックではインジェクターの容量アップなど、燃料系の強化はとくに必要ないと考えているが、岡山国際サーキットではガソリン残量が半分ほど残っている状態でガス欠症状が発生したため、燃料ポンプユニットを高速旋回に対応したS207純正に交換。これによって、ギリギリの残量でも安定して最後まで走り切れる仕様に仕上がったのだ。
●問い合わせ:トライアル 大阪府堺市美原区丹上87-1 TEL:072-362-7779
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トライアル
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