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低中速域からの立ち上がりを徹底重視したセッティングがポイント
快適性を一切犠牲にしない欲張り仕様のアタックマシン
軽量化は行わず、快適装備もフル搭載。それでいながら、どんなサーキットでも車高調の減衰力調整程度でトップタイムを出せるように仕上げられた超欲張り仕様が、このリバースBNR32だ。
夢のような話にも聞こえるが、実際にこのセットのままで筑波では58秒079をマーク(2017年当時はストリートラジアル4WDクラス最速)しているのである。
エンジンはHKS2.8LキットにGT2530ツインという、RB26チューンの王道的な仕様。ワンオフのスペシャルパーツ類は一切なく、誰でも手に入れることのできる市販パーツのみで構成しているのも特徴だ。
2基のGT2530タービンは、オリジナルのステンEXマニを介して装着。最大ブースト1.8キロ時に最高出力は600psを発揮するが、このエンジンの真骨頂はむしろ70kgmの分厚いトルクだ。
低中回転域から太いトルクを立ち上げる加速重視のセッティングこそが、実戦を通じて辿り着いたタイム短縮のための秘策なのだ。なお、エンジンマネージメントはF-CON Vプロ、ブースト制御はEVC6で行なっている。
フロントパイプやマフラーといった排気系は、リバースオリジナルのチタン製を装着。パワーアップに見合った排気効率の向上はもちろん、軽量化による運動性能向上の効果も発揮する。
ARC製2層インタークーラーやオリジナル2層ラジエター、HKS製12段オイルクーラーなど、冷却系もしっかり強化。ノーマルのフォルムを生かしたエアロパーツは、リバースのオリジナルブランド“シード”からリリースされているものだ。
サスペンションはジールファンクション車高調(F16kg/mm R14kg/mm)を軸に構築。アーム類は調整式を多用し、クスコの強化スタビライザーでロール剛性も高めている。機械式LSDにはニスモ製を奢る。
ホイールは前後とも11JのエンケイRS05RR、タイヤには295幅のアドバンネオバAD08Rを組み合わせる。RS05RRの隙間から覗く無骨なブレーキは、エンドレスのキャリパーシステム(F6ポット R4ポット)だ。
レーシーな外観とは裏腹に、インテリアは完全なストリート仕様だ。ダッシュボードやパネル類も新車同様のコンディションをキープしている。ミッションはBNR34のゲトラグ6速MTに換装。クラッチはエクセディのトリプルプレートだ。
この車両のポテンシャルをチェックしたのは飯田章選手。ストリートを模したテストコースでの試乗となったが「エンジンパワーやサス、ブレーキのバランスが抜群に良いね。安心して踏み切れるのが最大の長所だよ。軽量化が一切施されていないから重さは感じるんだけど、それが荷重移動をしやすくしているのも興味深かった」と絶賛。
今後はさらなるポテンシャル向上を狙って、エンジンオーバーホールに合わせて仕様変更を進めていくという。未だニューパーツが続々と市場に投入されている第二世代GT-Rだけに、その進化はまだまだ終わらないのだ。
●取材協力:リバース 栃木県真岡市長田126-2 TEL:0285-82-4870
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