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トラストのVレイアウトキットをFD3Sに装着して温度変化を検証
真夏のサーキット連続周回で油温105度/水温95度以下をキープ!
吸気温度まで含めた冷却系統の強化は、全開走行を目的とするFD3Sの必須項目。様々な手法が存在するが、最もポピュラーなクーリングチューンと言えば、インタークーラーとラジエターをフロント開口部の上下にV字型(横から見たら『く』の字)に配置する“Vマウント化”だろう。
ラジエターの前面を塞いでしまう前置きインタークーラー化よりも、吸気温と水温を効率良く下げることができるため、現在では様々なメーカー&ショップがオリジナルキットを展開している。
では、実際にどの程度温度は変わるのか。今回は、トラストのFD3S用「Vレイアウトキット(34万9800円/フルキット)」を使ってサーキットテストを敢行した。
まず、Vレイアウトキットの仕様から。インタークーラーコアは、266×400×100mmサイズのオフセットインナーフィンタイプを採用する。
ラジエターは第二世代GT-R用と同サイズ(355×631×48mm)のアルミ製を採用。FD3S純正ラジエターの容量が1.65Lなのに対し、Vレイアウトキット用は3.65Lと大幅に容量アップを図っているのだ。なお、ラジエタータンクは、空気が流れやすいようにエアロ開口部からの繋がりを考慮した形状となっている。
パイピングにもトラストの拘りが見て取れる。可能な限りスムーズに空気が流れるよう直線的にレイアウトされ、さらにインタークーラーコアを中心よりやや右側に配置することで、エアクリーナーを限界まで前方に伸ばして配置し、フレッシュエアを取り込みやすいようにしている。
導風板は走行風の抜けを考慮した角度に設定し、エアロ開口部の形状に合わせてラジエターの高さを10mmほど可変できる構造を採用。また、後期用のタービン出口エルボはボルト脱着用のヘコミの分、逆側を膨らませて流量を確保した拘りの構造だ。
この他、各種パイピングやエアクリーナーをはじめ、純正状態からの交換時に必要となるパーツをフルパッケージ。加工が困難なエアコン配管なども、あらかじめ形状をあわせて製作したものが同梱されているという至れり尽くせりの設計なのである。
さて、肝心の性能だが、Vレイアウトキットを装着したブーストアップ仕様(オイルクーラー純正ツイン)のFD3Sをエビスサーキット東コースに持ち込んで行なったテスト結果を見れば一目瞭然。気温30〜33度の中、ラップタイム1分7秒〜8秒で10周の全開走行を敢行したところ、水温95度/油温105度以下をキープし続けたのである。
また、吸気温度に関しても、FD3Sは80度〜85度でノックレベルが上昇すると言われているが、Vレイアウト仕様では55度(走行中/インタークーラー出口)以上を示すことはなかった。
サーキット派のFD3Sユーザーならば、このデータの凄さが理解できるはずだ。真夏の炎天下でのサーキット走行となると、ノーマルはもちろん通常レイアウトでのクーリング対策では、一瞬で水温が100度オーバーになって即クーリングを余儀なくされるのだから…。
チューニング業界が生み出した至宝のクーリングレイアウト、その性能は間違いなくFD3Sに恩恵をもたらす高機能パーツであることが証明されたわけだ。
●取材協力:トラスト TEL:0479-77-3000
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