目次
往年の改造車文化に憧れて
GC210型スカイラインのソレ・タコ・デュアル仕様!
チューニング系のSNSを覗くと、最近、日本のみならず海外でもかつての“グラチャン族”をリスペクトしたスタイルがよく目に付く。絶滅危惧種かと思いきや、一部では全く廃れていない世界ということなのだろうか。
グラチャン族とは、70年代から80年代にかけて大ブレイクした“富士グランチャンピオン・レース”に由来する。星野一義氏をはじめとする当時のトップレーサー達が駆るレースマシンをリスペクトし、派手なオバフェンやレースパーツ等で愛車を改造した街道レーサー達だ。グラチャンの際に富士スピードウェイに集結するのがお決まりだったが、暴走行為や集会がヒートアップしすぎて社会問題にまで発展したという経緯がある。
このジャパンに乗る“あいばちゃん”もまた、そんな往年の改造車文化に強い憧れを抱く一人だ。ベースは1981年式のGC210型スカイライン。ボディカラーは紫とシルバーの2トーンで、かなり粒子の大きなフレークを全体に吹きかけることによって煌びやかさを演出している。
突き出したアンダースポイラーにワークスフェンダー、そしてSSRのマークIIIと、エクステリアは完全な当時仕様だが、見た目だけのハリボテではないのもこの車両のポイント。各種マウント類の加工によってエンジンやミッションの搭載位置を引き上げ、極低フォルムでもストリートを不安なく全開走行できるように対策しているのだ。
もちろんエンジンにも手が入り、L20はソレックスの44φソレックスキャブにタコ足、ワンオフデュアルマフラーという俗に言う“ソレ・タコ・デュアル仕様”とされている。街道レーサー仕様には欠かせないラッパもきちんと装備済みだ。「タイミングを見てエンジンルームも綺麗に仕上げたいですね」とは、あいばちゃん。
チンチラダッシュマットやサイコロなどの小物も紫で統一されたインテリア。シートは現状ノーマルだが、近いうちにダットサンタイプのバケットシートに交換予定とのこと。これもオーダーメイドで紫のステッチが入った拘り満点の仕様になるそうな。
フェンダーはサバンナワークス仕上げで、サイドステップはワンオフ品。綺麗にパテ埋めされているがベースは4ドア車で、それら外装系の重作業は知人のプライベーターが行なったというから驚きだ。
ホイールはSSRマークIIIの14インチでフロントが10J、リヤが12Jという当時物の極太サイズ。
リヤ周りはルーフとトランクにスポイラーをセットし立ち上げ感を出しつつ、バンパー下にアンダースポイラーを設けることで腰高感を抑えたスタイリング。トランクスポイラーの立ち上がり角度とグラフィックの相性も抜群だ。
言うなれば“ネオ・グラチャン仕様”。シーラカンス的な存在ではあるが、クルマを取り巻く環境が目まぐるしく変わる現代だがらこそ、価値がある。あいばちゃんとジャパンが綴る街道レーサー物語に、栄光あれ!