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切った貼ったでモノコックを加工。RPS13の足回りを総移植する!
トラクション性能アップを狙って、リヤサスをマルチリンク化
DR30の足回りは前ストラット式、後セミトレーリングアーム式。基本的にハコスカの時代から何も変わっていないのだが、ガレージ八幡の森田代表がもう一度走らせることを考えると、フロントのストラット式サスはともかく、リヤのセミトレ式サスがよろしくない。
なぜなら、サスストロークに対するキャンバー変化が大きく、ただでさえグリップが期待できないストリートゼロヨンでは、なおさらトラクションを稼ぎにくいからだ。
それ以前の問題として、錆が回ったメンバーやアーム類を見るかぎり、パワーに負けて折れたり千切れたり…などということも考えられる。いずれにしろ足回りがノーマルのままでは、FJ20改2.1L+TD05ツイン仕様の600ps(予定)を活かせるはずがない。
そこで見つけた解決策が、RPS13用リヤサスの移植。当然ボルトオンというわけにはいかず、モノコック側の加工が必要だが、マルチリンク化のメリットは計り知れないほど大きい。
「BCNR33用でも良かったけど、HICASの処理をしなくちゃならんから、HICASナシのRPS13用を流用することにしたんよ」と森田代表。
また、フロントサスも形式こそ同じストラット式だが、RPS13用を移植することに。これでS13系の車高調が使えるし(DR30はカートリッジ式)、ステアリング形式もボール&ナット式から、今時のラック&ピニオン式へとバージョンアップできてしまったりする。
森田代表いわく、「ついこないだ、エンジンがほぼノーマルのDR30で全開加速したら結構あぶなっかしい動きを見せた。“鍋田”全盛期は400psオーバーなのに足回りがノーマルで、よくアクセル踏んでたと思ったね」とのこと。
1970~80年代、国産FR車のリヤに多く採用されたセミトレーリングアーム式サス。バンプストロークに合わせてネガティブキャンバー角が大きくなり、タイヤ接地面積が減少するデメリットがある。正直、リヤを大きく沈みこませて加速するゼロヨン仕様には向いてないサス形式と言える。
一方のマルチリンク式はストロークに対するアライメント変化が少なく、タイヤの接地性を大幅に高めることが可能。さらにRPS13用なら調整式アームも多いため、セッティングの幅もグッと広がるわけだ。ちなみに、幅(左右ベルハウジング間の距離)はDR30の1460mmに対してRPS13は1530mmと拡いため、アーム長とホイールオフセットで対処する予定。
DR30のドライブシャフトはデフ側にサイドフランジがなく、直接スプラインが刺さる古いタイプ。パワーを上げてくとハブ側が壊れる…というトラブルが当時は良くあったそうだ。今回はデフもキャリアごとRPS13用に交換するので、一般的なサイドフランジ式のドライブシャフトに改められる。
装着状態のサイドフランジはRPS13用だが、ドライブシャフトとの固定ボルトが5本と少なく、シャフト径も細い。そこで、強度と耐久性を考えて6本ボルトでシャフト径も太いBNR32後期~BCNR33用を使うことに決定。
サイドフランジ単体を比較してみる。右からRPS13用(シャフト径29mm)、BNR32前期用(同31mm)、BNR32後期~BCNR33前期用(同32mm)だ。
リヤサスメンバーは4ヵ所でモノコックに固定される。そのうち後ろ側2ヵ所はRPS13用のブラケットをフレームに溶接して対応。また、サスメンバーとの干渉を防ぐだけでなく、取り付け角度の適正化も図るためにメインフレームも加工される。
DR30のノーマルフロントサス。ゴムブッシュを介し、ブラケットに対して水平に装着されるテンションロッドなどに設計の古さが感じられる。
同じストラット式サスでもRPS13用は新しい設計。テンションロッドの長さや取り付け角度に違いが見られる。また、メンバーごと足回りを移植することに伴い、ステアリング形式もボール&ナット式からラック&ピニオン式に変更。ステアリングシャフト径が違うものの、途中に設けられたカラーに変換スペーサー機能を持たせて問題を解消する予定だ。
パワーを活かし切るための足回り完全リメイク。完成形は次回紹介できるはずなので、お楽しみに!
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:ガレージ八幡 愛知県半田市上浜町10-20 TEL:0569-26-1660
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