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サイドポート拡大+T88-34Dタービンで500馬力オーバー!
収まらないホイールスピン! 潜在能力はいまだに超一級
ラグジュアリークーペとして登場したJCESユーノスコスモは、4速ATのみの設定だ。しかし、専用設計3ローター20B型エンジンのスポーツ性を引き出すにはやはりマニュアルミッションがベターで、エンジンチューンを進めていく上でもメリットが大きいことは言うまでもない。
そこで、FC3S用ミッション移植による5速MT化を実現したのがこのクルマ。MTの設定がないJCESだけに作業も難航しそうだが、意外にも、ほぼボルトオンでいけてしまう。
「プロペラシャフトは多少の加工が必要ですが、ベルハウジングはボルト穴を一ヵ所修正するだけでOK」とのこと。シフト周辺を見ると、まるで最初からあった仕様のように、違和感のない位置にセットされたシフトレバーが確認できる。ミッションマウントはFC3S用を加工、クラッチペダルはFD3S用が使われる。クラッチはマツダスピードのFC3S用ツインプレートだ。
一方のエンジンは、まずサイドポート拡大加工が行われ、ノーマルの弱点であるシーケンシャルツインターボ(プライマリーとセカンダリーで異なるタービン径がトラブルの原因)を取り去り、ビッグシングル化。さらに、排気ポートのカラーをより径の大きなFC3S用に打ち換えた他、冷却系の強化など、徹底したトラブルシューティングが施されている。
また、エンジンのマウント位置もMT化に伴って変化するプロペラシャフトの角度を適正化するべく10mmダウン。このパワーユニットに組み合わせるタービンはT88-34Dだ。最大ブースト圧は0.9キロと控えめだが、元々当時の馬力規制に合わせるため意図的に性能が抑え込まれていたエンジンだけに、軽く500ps以上のパワーを発揮する。
室内はノーマル然としつつ、純正の未来的デザインを損なわないように追加メーターをセット。写真では分かりにくいが、スピードメーターはコスモ乗りの間で密かに(?)取引されているという、稀少な260km/hフルスケールタイプに交換されている。
オーナーは、2ローターでは決して再現不可能なフェラーリV8を彷彿とさせる官能的サウンドとともに、5速MTでの快適な走りを存分に堪能しているのだ。