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タービンは当時のTD05-12Bに代えてオリジナル『TD520Zプロ』を装着
ワンオフサージタンク&EXマニがカッコ良すぎ!!
今回、組み直されたエンジンは腰下に東名φ91鍛造ピストンをセット。コンロッドとクランクシャフトは強度的に問題なく、コストを抑えることも含めて、走行距離の少ないFJ20ET純正品を使用。これでボア径φ91×ストローク量80mmとなり、排気量は1990ccから2060ccまで拡大している。
ヘッド周りはIN288度、EX272度のHKSカムシャフト&カムスプロケットを装着。バルブスプリングも東名の強化品に交換される。
タービンは当時と同じTD05ツインで決まりだが、エンジンルームを眺めていた森田代表が「なんか小さくてカッコ悪いな…」と。タービンが上下にレイアウトされる今回のワンオフEXマニ仕様では、2つ並んだタービンに隙間がありすぎてスカスカな印象。
しかし、TD05を使うのは企画の流れから絶対。そこで森田代表が持ってきたのはエキゾースト側TD05、コンプレッサー側TD06-20Gという、不思議なタービンだ。かつてRB26で使っていて、TD05と06をバラして合体させたという逸品。ネーミングは…トラストの流儀に則り、ウエストゲート仕様ってことを加味して『TD520Zプロ』に決定だ!
上がエキゾースト側TD05、コンプレッサー側TD06-20Gという森田代表作のハイブリッドタービン『TD520Zプロ』、下が当時のTD05-12B。コンプレッサーハウジングがひと回り大きく、インデュース&ノズル径も太いなど、見た目の迫力がまるで異なる。
EXマニはφ42ステンレスパイプを使ったワンオフ品で、1-4番が上のタービン、2-3番が下のタービンへと導かれる。可能な限り効率良くタービンに排気を当てられるよう、パイピングは短く、ストレート形状とされる。
ちなみに、RB26ではEXハウジングが6cm2だったが、2.1Lの排気量には大きすぎるため、当時の4cm2を使うことに。タービン選択として反則スレスレな気もするが、「まずはエキゾースト側ありき」というトラスト的なタービン解釈をすれば、これは紛れもないTD05なんだから企画的にはアリだ。
タービンの位置を決めてから、EXマニにウエストゲートパイプを追加。作業は完全に自社内で行われているため、現物合わせのワンオフ製作などでも時間的なロスが最小限で、理想とするパーツを作ることができるのだ。
助手席側ストラットタワーとバルクヘッドの間にセットされたウエストゲート。「これまでの経験から、ブースト圧を上げるならゲートは1基の方が都合が良い」と森田代表。
トラストが当時ラインナップしていたTD05ツインターボ用EXマニ。ノーマルに装備されるエンジンの振れを抑えるバッファーロッドの装着を前提とした設計だったため、パイプレイアウトが複雑で、タービン直前の集合部などは明らかに排気抵抗が大きそうな形状だ。
ワンオフ製作されたサージタンク。高ブースト下でのクラック発生などを防ぐため、パネル同士の継ぎ目は内側もしっかり溶接される。
その形状は4番シリンダーに空気が入りすぎないよう考えられ、内部はファンネル形状に加工される。
当初ダイレクトイグニッション化を考えていたが、FJ20に合う製品が見つからなかったため、3芯タイプで通電性に優れるマツダ純正FD3S用コイル+プラグコードに落ち着いた。バルクヘッドに並んだコイルがレーシーで、見た目にはダイレクトイグニッションより良い気もする。
シルビア用フロントサスメンバーとバルクヘッド側に大きく寄せられたエンジン搭載位置に合わせて、オイルパンもアルミ素材でワンオフ製作。ノーマルよりもエンジンオイル容量が拡大され、潤滑&冷却性能を高める。
オイルパンは2分割構造でSR20用が装着できるようになっている。森田代表いわく「こうしておけばメンテナンス性が良いし、後々フタの部分だけをトラストとかの大容量タイプに交換することもできるからね」とのことだ。
次回は、インタークーラー&ラジエターを装着した状態が見せられるはず。もしかしたらエンジンに火が入るかも!?
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:ガレージ八幡 愛知県半田市上浜町10-20 TEL:0569-26-1660
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