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WTACにも挑戦した筑波最速エイト!
フロントミッドに3ローターNAペリユニットを搭載
長期に渡って、パンスピードがテスト&チャレンジを続けてきたRX-8のサーキットスペックだ。当初は、2ローターNAペリフェラルポートの300ps仕様で走っていたが、さらなるステップアップを目指して大幅なリメイクを敢行。
そうして誕生したのが、3ローターの20BをベースとしたNAペリフェラルポート仕様だ。3ローター化にあたっては、フロントミッドシップのバランスを崩さぬよう、エンジン搭載位置は13Bエンジンのプーリー位置を基準に決定。
そのため、バルクヘッドやミッション位置、プロペラシャフトなど多くの部分に改造が必要となったが、前後重量配分は限りなく50:50に近い数値を達成している。
エンジン本体はFC3S輸出用の高圧縮(9.7)ローターや3分割のアペックスシールをインストール。ペリフェラルポート化されたインテークには、ワンオフのインマニを介して海外製の45φスロットルが装着され、ドライカーボン製のインダクションボックスで吸気効率を引き上げている。
最高出力は、2ローターペリ時代が約300psだったのに対し、3ローターペリ化によって430ps程度までパワーアップ。ターボ車と渡り合えるチカラを手に入れたわけだ。
フロントグリルからインダクションボックスまで、カーボン製のサクションパイプを伸ばして、走行時はラムエアによる慣性過給効果を狙う。このあたりのノウハウは、長年サーキットアタックを続けてきたパンスピードならではだ。
フロント左右には、大型化されたオイルクーラーを2つ搭載。ラジエターはHPIのエヴォルブをベースにワンオフでレイアウトし、連続周回でも音を上げないクーリングパートを構築している。
ECUはモーテックの最高峰M800。合わせてダッシュロガーを装備することで、走行後のロガー解析も円滑に行えるようにシステムを組んでいる。
3ローター化に伴い、エキマニの配置やステアリング機構などレイアウトの問題が発生する。そこで、思い切ってドライバーズシートやステアリング機構を左に配置転換。
さらに、ドライバーズシートを後方にオフセットするべく、ペダル機構もレース用パーツを使用して大きく移動させている。ステアリングラックはFD3Sの輸出用だ。ヒューランド製ミッションを操作するレバーも、左ハンドルであることが前提の位置に装備。コクピットはカーボンパネルで完全に作り直されている。
フル補強されたシャーシには、フロントストラットまでしっかりとロールケージが組み込まれる。各部の軽量化も徹底され、ドライカーボンドアパネルやアクリルウインドウも採用する。
ブレーキは前後ともレーシングブレンボとし、スタビやアライメントなどの調整要素はしっかりと扱いやすいように作り込まれたサスペンション。車高調は、ザックスベースのオリジナルスペックを奢る。
こうして仕上がったマシンは、服部尚貴選手をドライバーに迎え、オーストラリアで開催されているWTAC(ワールド・タイム・アタック・チャレンジ)のプロクラスに参戦。1000馬力級のターボ勢がひしめく中、果敢にアタックして1分35秒台をマーク、13位という好成績を残した。
その後は国内の主要サーキットに主戦場を戻し、SタイヤでRX-8最速となる57秒フラットを記録し、最強エイトの称号を手にしたのである。
●取材協力:パンスピード 埼玉県蓮田市関山2-7-8 TEL:048-764-2040
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