「オーナーのセンスが輝く超完成度!」日本未発売のインフィニティQ60で600馬力オーバーを達成!!

ハイフロータービンで全域トルクフルな600馬力を実現

マフラーはオーナーがDIYで製作したフルストレート仕様!

V37型スカイラインのクーペ版にあたる、インフィニティQ60(日本未発売)をベースにした稀有なチューンドの登場だ。

「元々V35クーペやG37コンバーチブル等々…。日産V6エンジン搭載車が好きで乗り継いでいて、“次はターボ車!”という思いから候補に上がったのがQ60でした。日本ではマイナーですが、たまたま欲しいタイミングでほぼ新車の個体が中古車オークションに出てきたんですよ」とはオーナーの奥津さん。

Q60に搭載されるエンジンは、日産のフラッグシップVR38DETTの直系となるVR30DDTTだ。これはV37スカイラインや新型Zと同一のパワーユニットで、最高出力は300psに達している。そのため、当初はブーストアップレベルのチューニングに留めて、楽しく走れるスペックを目指してメイキングを進めていたが、不運にもタービンブローに見舞われてしまう。

普通ならそのままショップに車両を持ち込んで修理…となるわけだが、奥津さんは違った。純正復帰では面白くないと、GCG製のブレードを組み込んだ純正改ハイフロータービンへのステップアップを実行したのだ。いわく「どうせ手を入れるなら、パワーアップするチャンスかなって」とのことだが、その思考はまさしくチューニングカー乗りのそれだ。

ハイフロータービン化に合わせて、千葉県の“シードレーシング”でECUセッティング(ECU-TEK)を行った結果、最大ブースト1.5キロ時に実測で609.9ps&75.6kgmを絞り出しているというから恐れ入る。

なお、VR30DDTTエンジンはチューニングを進めていくと、水冷式インタークーラーの容量不足に起因する吸気温度の上昇に悩まされる。その対策として、この車両はAMS製の大容量ヒートエクスチェンジャーとBMS製の水冷インタークーラーコアを導入している。

インテーク環境には、アメリカのaFeが展開する日本車向けブランド“aFe TAKEDA”のコールドインテークキットを装着。こうしたパーツセレクトや交換作業は、奥津さん自らが行っているそうだ。

注目すべきはエキゾーストで、AMS製3インチフルストレートダウンパイプ以降は全て奥津さんの自作。5年ほど前からYouTube等で溶接を学びながら、趣味でマフラー製作を行なってきたという。

「業者さんに頼んだ方が楽なんですが、自分が求めるサウンドを突き詰めていくには何度も調整が必要で。だったら自作かなと(笑)」。

ちなみに、形状は単なるフルストレートではなく、音割れを消すための自作レゾネーターも配備。消音性も考慮して、汎用の電動バルブと消音用バイパス経路を組み込んでいるのもポイントだ。

チューニング色の強い機関系メイキングとは打って変わり、サスペンションにはスキッパーのハイドロシステム(1P1B)を投入。近年は“エアサス>ハイドロ”という流れになっているが、「エアボリュームで車高が変わるエアサスと違って、ハイドロは設定車高毎に細かい減衰調整が可能です。走りを考えたらハイドロですね」と、奥津さんはハイドロの利点と選択理由を語る。

「アメ鍛も考えましたが、ちょっとイメージと違うなって思いまして」との理由から、ホイールには軽量&高剛性な20インチのエンケイRS05RRを選択。新品を購入し、そのまま北海道の小樽ラヂエーターにてブラッシュド加工とブラウン系のパウダーコート塗装を実施。国産モデルとは思えない風合いに仕上げられた。

ブレーキはAPレーシング製で、フロントが6ポット+370mmローター、リヤが4ポット+350mmローターの組み合わせ。なお、ローターはキャリパーの逃げを考慮してフロントのみ10mm外側にオフセットされる仕様となっているそうで、ホイールサイズはフロントが10Jプラス30、リヤが11Jプラス32となる。タイヤはミシュランパイロットスポーツ4S(F255/35R20 R295/30R20)を履く。

ちなみに、ミシュランタイヤは他メーカーに比べてサイドウォールが厚い。そのため、前後にクスコの調整式アッパーアーム(Z34用)を投入し、走行状態で3.5度のネガティブキャンバーを付けてタイヤとフェンダーの干渉を回避している。

ラグジュアリー感満載のインテリア。ベースグレードはパドルシフトレスの“LUXE 3.0t”だが、スポーツグレード“レッドスポーツ”純正のパドルを移植して手元でのシフト操作を可能にしている。シフトレバー横のコントローラーはハイドロの制御用。メーターフード傍にセットされたピボット製ブーストメーターは、チューンドらしさを演出するための装備だ。

エクステリアは海外製のフロントリップとリヤディフューザー、トランクスポイラーのみを追加したシンプルな構成。フロントリップとディフューザーを、ブレーキキャリパーと同色のBNR32純正ガングレーメタリック(KH2)でペイントして統一感を与えている。

車両購入時の予定とは異なり、ハイパワー化が進んだ愛車については「ターボ車に乗りたくて買ったはずなのに、下からトルクがありすぎて大排気量NAみたいなんです。3000回転くらいから踏み込んでもホイールスピンしますよ!」と、満更でもない様子。

試行錯誤を繰り返しながら洗練度を増し続けていくインフィニティQ60。魅力的にも、ほどがある。

PHOTO:平野陽(Akio HIRANO)

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