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スペシャルパーツは使用せず56秒台をマーク
長年のノウハウを詰め込んだ筑波快速仕様に迫る!
RE雨宮と言えば、言わずと知れたロータリーチューニングの第一人者だ。そんな同社が「FD3Sのブーストアップ仕様で、どこまで筑波サーキットのタイムを伸ばせるか」というテーマで開発したのが、今回紹介する『RE雨宮 風林火山LW-7』である。
このFD3Sを製作するにあたってRE雨宮が追求したのは軽さだった。目標は1トン切り。そのため、リヤゲートやドアパネル、GTウイング、ボンネットといった大物はドライカーボン製を採用。さらにフロントバンパーやワイドボディキットは製品よりもFRPのプライ数を減らした特注品としている。この結果、車重は970kgを実現したというから恐れ入る。
その他、内外装のあらゆる箇所には肉抜き加工を施し、エンジンハーネスもサーキット専用前提でギリギリまで間引いた。もともと軽量設計のFD3Sを200kg以上軽くするというのは、こうした作業の積み重ねが必要だったというわけだ。
燃料タンクは純正を廃し、軽量化と重量配分の適正化を考えて安全タンクをリヤシート位置に移設。リヤゲート内もスペアタイヤ部分を撤去して完全フラット化されている。なお、撮影時は助手席が装着されていたが、アタック時はシングルシート仕様となっていた。
心臓部の13B-REWは、GCGの純正改ハイフロータービンを使った常時ツインターボ仕様となる。エンジン内部に関しては、耐久性重視でセラミックのアペックスシールを組み込んでいる程度でポート形状は純正サイドのまま。サーキット専用のため、エアコン&ヒーターはすべて撤去。制御にはLINKフルコンを採用し、最高出力は420psに達している。
インタークーラーとラジエターは一般的なV字マウントとはせず、インタークーラーを水平に配置して、その下部にラジエターを傾斜させてマウント。これは、RE雨宮のタイムアタックマシンにおいて昔から採用されているレイアウトだ。なお、インタークーラーのコアはCX-5純正をふたつ合体させて使っているのがポイント。「市販品と比べて、このコアすっごく軽いんだよ」とRE雨宮の雨さん。軽さに拘っての選択というわけだ。
リヤフォルムも特徴的。フロアのフラットボトム化も考えたが、筑波サーキットというステージに限定するなら、グランドエフェクト効果のメリットよりも金属パネル類を加えることでの重量増加というデメリットの方が大きいと判断して採用を見送ったという。マフラーはフルチタンのドルフィンテールを奢る。
足回りは名門“スクート”が開発を担当したスペシャル車高調を軸に構築。スプリングはスウィフトの16kg/mmを前後にセット。アーム類はサスペンションに入力される負荷に対して、リニアに足を動かすことを目的にフルピロ化している。
ブレーキはフロントにエンドレスの6ポットキャリパーを投入してストッピングパワーの強化を図る。
ボディキットは、長きに渡りFD3Sオーナー達から絶大な支持を集めているRE雨宮オリジナルのAD-GT(タイプ3)。機能性溢れるホイールは10.5JのエンケイGTC02、そこに前後295/30-18サイズのアドバンA050を組み合わせる。
ロータリーチューンの神様とも呼ばれる男が、2002年以来久々に本気で開発したサーキットスペック『風林火山LW-7』は、シェイクダウンでいきなり56秒806という超絶タイムをマーク。流石としか言いようがない。
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
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