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2020年の筑波参戦からトントン拍子で52秒台に突入!?
“ファイヤー安藤”超えを狙う若き戦士
2020年シーズンの筑波サーキットに彗星の如く現れ、ライトチューンのS13改ワンビアでいきなり55秒628という衝撃のタイムをマークしたタイムアタッカー“みつお”。
このニューカマーの進撃は止まらず、2021年シーズンで1秒近いタイムアップ(54秒703)を達成。さらに、2022年2月に開催されたAttack鈴鹿では、チューニングカーとしてはトップクラスのタイム、1分59秒859を叩き出したのだ。
以前はHKSのキャパシティアップグレードキットを軸にしたSR20DET改2.2L仕様だったが、2023年シーズン前にエンジン本体をアップデート。排気量こそ2.2Lのままだが、ムービングパーツを海外製パーツで組み直し、ヘッドも可変バルタイ機構を持つVEヘッドとされた。
タービンはGCGのG35-1050タービンで、エンジンのマネージメントはLINK。燃料はアルコール系のE85を使用しつつ、各シリンダーにノズルを設けるシーケンシャルショット式のNOSも装備。未計測のため正確な数値こそ不明だが、1000psオーバーも十分に狙えるスペックだ。
カーボンダッシュやアクリルウインドウなど、徹底的な軽量化が行われているインテリア。ロールケージはピラーと接合しつつフロントはストラットまで伸ばしてボディ剛性を引き上げている。ミッションはホリンジャーの6速シーケンシャルRD6-S。エキゾーストは室内を抜けて最短距離で排気されるスパルタン仕様だ。
強烈なダウンフォースに負けないよう、ウイングのマウントステーはトランク貫通で補強バーと接合される。
サスペンションメイクも凄まじい。リヤサスは純正を廃し、オーナー自らの手でインボード式マルチリンクを構築。製作にあたっては、かつてハコ車レースに参戦していたという廃レーシングカーを購入し、そのサスペンション構造を参考にしたという。レースカー直系の装備ではあるが、参考にした車両がS13ではなかったため、車重に合わせたセッティングを取れるようになるまでは苦労の連続だったそうだ。
フロントのサスペンションはシルクロードの市販品だが、ピロアッパーの左右入れ替えやブラケットの加工、アーム類の延長加工によってトレッド幅を片側80mmほど拡幅。ブレーキはエンドレスのシステムを投入。
タイヤは前後ともにアドバンA050の295/35R18サイズをセット。ホイールはレイズボルクレーシングTE37(サイズ不明)このサイズを使い切るためのワイドボディは、2023年シーズンに投入されたドライカーボンによるワンオフスペシャルだ。
今シーズンのベストは、Attack筑波2023の前日走行会でマークした52秒603。これは、群雄割拠の筑波アタックランキングで6位(2023年4月現在)に付ける脅威的なタイムだ。
「残念ながら昨シーズンに掲げた51秒台には届きませんでしたけど、フィーリングは良い感じです。打倒ファイヤー安藤さんを目標にしているので、まずは地元の鈴鹿で安藤さんより速いタイムを出して、そこから筑波も最速を狙っていきたいと思ってます!」と闘志を燃やすみつお選手。
なお、みつお選手はオーストラリアで開催される世界最大のタイムアタックイベント“WTAC2023”への参戦も表明している。彼の地で一体どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。今から期待が高まるばかりだ。
PHOTO:Daisuke YAMAMOTO (山本大介)/Nobutoshi KANEKO(金子信敏)
●取材イベント:Attack筑波2023