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エンジン本体ノーマルのまま220馬力までドーピング!
谷口信輝も絶賛の動力性能
アバルト595は、フィアット500(チンクエチェント)をベースにアバルトがチューンを施したホットハッチだ。以前はアバルト500を名乗っていたが、2017年のモデルチェンジで差別化のためにアバルト595へと名称変更。さらに、2022年に発売した最新モデルでは、アバルトがサプライヤーとしてエンジンを供給している“Formula 4”の頭文字を取ったアバルトF595が登場するなど、さらなる進化を遂げている。
今回の取材車両は最新モデルのF595ではなく、2023年まで販売されていた先代の595最終型で、その中でも豪華装備で武装した上級グレード『コンペティツィオーネ』だ。その特徴は、約1トンという軽量ボディに180psを絞り出す1.4L直列4気筒ターボエンジンを搭載した過激な走りに尽きる。
ちなみに595は、ベースグレードの他、ツーリズモやコンペティツィオーネなど存在するが、アバルトチューンに精通した“J&K”の神保代表によると、グレードによるエンジンの差はないとのこと。上級グレードでは、レコードモンツァマフラーを始め、サベルト製バケットシートやブレンボキャリパーなどを装備するが、チューニングベースとしてはベースグレードで十分という話だった。
また、「パワーチューニングを進めていくと、200psを超えた辺りからレコードモンツァマフラーが壊れ出すので、それであればベースグレードを買ってアフターメーカーのマフラーに交換する方が得策」とも教えてくれた。
グレード問わず、純正タービンを生かし切るブーストアップ仕様の目標値は220psが目安。タービン交換でモアパワーを狙うことも可能だが、エンジンの耐久性やインジェクターの容量まで考慮すると230ps付近が限界で、それ以上になると大幅なリメイクが必要になるそうだ。
取材車両は、J&Kオリジナルのインテークキットを装着した上でECUチューンを敢行。40psアップの220psまで最高出力を向上させている。
ホイールはボルクレーシングのTE37ソニックで、サイズは前後とも7.5Jプラス28。タイヤはアドバンネオバAD09(205/45R16)を組み合わせる。サスペンションはHKSのVIITS車高調で、スプリングレートは前後5kg/mmの設定だ。
インテリアはノーマルをキープしているが、サーキット走行を楽しむためにドライビングシートのみフルバケットに変更している。
エクステリアでは、純正から5kgのシェイプアップが可能なKパーツ製のカーボンボンネットを投入。アウトレットダクトの網をオーナー自らイタリアンカラーにペイントして個性を演出している。
このチューンドを試乗したレーシングドライバーの谷口信輝選手は「アバルト595って初めて乗ったんだけど、想像以上にヤンチャで相当速いよ。ブーストアップの効果が大きいとは思うけど、低回転から高回転までブースト圧のタレもなく、1.4Lという排気量を感じさせない走りは刺激的。今回は7000rpmでシフトしたけど、息継ぎもなく回転に合わせてパワーが出る感覚は病みつきになりそう。HKSのサスペンションも、車高が低いわりにはストローク感も十分ある。イタ車だと思って少し身構えてたけど、この595は温かみのある乗り味で日本人好みの楽しさがあるよ」と評価。
アバルト595のカスタム&ドレスアップ仕様は数多く存在するが、今回紹介したJ&Kの作品は刺激的な走りを求めるオーナーへの提案という位置付け。小よく大を征す。格上を喰らえるほどの戦闘力は、かつて“ジャイアントキラー”と称されたアバルト・チューンそのものである。
●取材協力:J&K 千葉県山武郡九十九里町真亀629 TEL:0475-76-2714
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