「前人未到の400キロオーバーを目指す究極系R35GT-R!」実測1031馬力の強心臓と3.3ファイナルギヤで勝負

数多くの仕様をテストして辿り着いた3.8Lフルチューンという最適解

フェニックスパワーの想いが詰まった最強スペック

デビュー以降、数多くのR35GT-Rを手掛けてきた“フェニックスパワー”。特に『エンジンチューンを活かすも殺すもセッティング次第』と、情熱を注いで取り組んできたECUチューニングには絶対の自信を持っており、フェニックスパワーには日本全国から数多くのユーザー車両が持ち込まれているだけでなく、横山代表みずからが機材を携えて日本全国へ出張セッティングに向かうことも珍しくない。

また、近年ではチューニングに加えて距離や年式の進んだ個体のリフレッシュ依頼も増えてきている。そうしたオーダーに対し、フェニックスパワーでは豊富な経験を元にした効率的なリフレッシュ+αのバージョンアップメニューを多数用意。まさに、R35GT-R乗りにとって愛車をトータルで任せることができるプロショップなのである。

そんなフェニックスパワーの手掛けたマシンは、ストリートでの乗りやすさはもちろん、サーキットでも好タイムをマーク。0-1000m加速では、日本最速タイム“16秒97”をマークするなど、R35GT-Rチューニングではかなりの戦果を挙げているが、横山代表にとってひとつ大きな心残りがあるという。それは、2013年にOPTION誌が行なったイタリア・ナルド高速周回路を舞台にした最高速アタックだ。

「380キロオーバーを目指して、結果は356.9キロ。制御の介入で上が伸びなかったんです。悔しかったですよ。あれ以降、かなりの数のフルチューンR35を製作して、技術やノウハウも蓄積が進みました。そんな中から生まれたのがこのマシンなんです。ストリートスペックでありながら、目指すは最高速400キロオーバー、ラジアルタイヤで鈴鹿サーキット2分7秒台。状況が良ければどちらも達成できるポテンシャルはあると思います」。

面白いのはエンジン仕様で、かつてナルドに持ち込んだのは4.0L仕様だったが、このマシンは排気量を引き上げずにあえて3.8Lのまま強化。排気量アップの恩恵は計り知れないが、ボアを拡大するとブロック剛性は確実に落ちる上、ノーマルブロックに施されているシリンダー内コーティングも無意味になる。だからといってストロークアップに頼ると、今度は高回転域が使えなくなる。ハイブースト&高回転化が絶対条件となる今回の最高速仕様において、ノーマル排気量は必然だったのだ。

このフルチューンVR38ユニットに組み合わせるタービンは、トラストのTD06ツインターボキットだ。本来はTD06SH(20G)ツインという内容だが、ピークパワー狙いでタービンサイズをTD06H(25G)仕様へとアレンジして組み込んでいる。

最大ブースト2.0キロ時に繰り出されるパワーは、実測で1031ps/126.24kgm。高温で湿度も高い状況での計測だったため、条件が良ければ1100ps付近をマークすることも可能というから恐れ入る。

エキゾースト環境は100φのフルストレートで、マフラーにはRH9オリジナルの100φフルチタンを組む。取材時はサーキットスペックだったが、スポーツ触媒を装着すれば合法マシンとしてストリート走行もOKだ。

足回りは、ストリートをメインとしたアラゴスタ製のタイプSA車高調(F24kg/mm R20kg/mm)を装備しているが、近日中によりスポーティなタイプSSへと交換予定とのこと。スタビはニスモ製を投入してロール剛性を高めている。

ブレーキは、サーキット走行も想定してAPレーシングのファクトリーブレーキキット(F6ポット R4ポット)を前後に装着している。

美しい6本スポークのホイールは、ボルクレーシングTE37ウルトラ・トラックエディションII(FR11.0J×20)。タイヤにはポテンザRE-71R(FR285/35R20)をセットする。

一方、エクステリアはフェニックスパワーオリジナルのエアロシステムでフル武装。どれも400キロにも耐えうる強度を持たせた、自慢の空力パーツだ。

「今のハイギヤード化したファイナルで吹けきれば、実測で405キロくらいになる計算で、現在のパワー&トルクならイケると思うんです。でも、ポイントとなるのは最高速までの到達スピード。ジリジリ加速するんじゃなく、スパッと出さないとトラブルが起こる可能性は上がるし、ドライバーもしんどいと思う」と横山代表。

これまで、数多くのチューンドR35GT-Rを生み出してきた横山代表が導き出したアタックへの最適解がこのチューンドというわけだ。最高速を知り尽くしたトップチューナーが挑むGT-R世界最速記録への挑戦、その物語の結末やいかに。

SPECIFICATIONS
■エンジン:フェニックスパワー95.5φ鍛造ピストン、I断面コンロッド、ダブルオイルクーラー、オリジナルメインCPU2017モデル改 Ver.14/フューエルポンプ/RSEカムシャフト(IN &EX274度11mmリフト)/RH9フルチタンマフラーφ100/1300ccインジェクター×6/トラストTD06SH(25G)×2、2mm厚ステンレスマニホールド、ステンレスフロントパイプ、大容量ウエストゲート、大容量サージタンク、type-29インタークーラー ■ドライブトレイン:LINNEY強化8プレートクラッチ/強化ギアオリジナル加工/ATSカーボンLSD(F&R)/3.33ファイナル ■サスペンション:アラゴスタ タイプSSに変更予定(F24kg/mm R20kg/mm)/ニスモスタビライザー ■ブレーキ:apレーシング(F6ピストン R4ピストン)/ブレーキローター(F400φ) ■ホイール:ボルクレーシングTE37ウルトラトラックエディションII(FR11.0J×20) ■タイヤ:ポテンザRE-71R(FR285/35R20) ■インテリア:レカロSR-7クラシック/Defiメーター ■エクステリア:フェニックスパワーオリジナル カーボンフロントリップ、サイドステップタイプ2、リヤアンダーサイドステップタイプ3、カーボンテールフィニッシャー、カーボンリヤアンダーサイドダクト/ウイングタケオGTウイング

●取材協力:フェニックスパワー京都店 京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157

「GT-Rの足元は“最強”で飾るべきだ!」ボルクレーシング史上最強モデルを再考する

「ハーフウェット路面で時速339キロを記録!」伝説のJZA80スープラを再考察

【関連リンク】
フェニックスパワー
http://www.phoenixs.co.jp/phoenixs/

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption