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GT-Rを知り尽くした男が「趣味」で作るコンプリートカー
エンジンは組み立て直後のニスモR3タービン仕様
世界屈指の最高速アタッカーにして、パワーチューンにかけては無類の強さを誇るトップシークレット代表、永田和彦。スモーキーの愛称で親しまれ、世界中にファンを持つチューナーだ。
そんな男が「これからのGT-Rオーナー」のために2018年に立ち上げたのが、独自の“第二世代GT-R再生プログラム”だ。これは、一度フルストリップ状態にした上で錆を完全撤去し、そこからトップシークレット流の剛性アップ術を施工しながら高程度の純正パーツのみで組み上げていくというもの。つまり完璧なレストアだ。
第二世代GT-R、とくにBNR32はデビューからすでに30年以上が経過しているため、どんなに走行距離が少なくても丸裸にすると必ず錆が顔を出す。トップシークレットでは錆の侵食をシャットアウトするために、劣化した箇所の周辺をカット。鉄板の貼り替え作業を必ず行った上で、リフレッシュを進めていく。
ボディ補強もしかり。これまで蓄積してきた様々なデータをもとに、スポット溶接増しや補強バーを効果的に入れていく。こうして徹底的に作り直されるボディは、ハイパワーを受け止める素養を備えた剛体へと生まれ変わるのだ。
今回紹介するのは、そんな再生プログラムによって完成したばかりのBNR32だ。エクステリアはホイールまで含めて同社のスーパーチューンド“VR32GT-R”と同一のパッケージとなり、ボディカラーも深みのあるホワイトパールでオールペイントされている。
錆ひとつないクリーンなエンジンルームに収まるRB26DETTは、フルオーバーホールと同時に鍛造ピストンを組み込んだ2.6Lの強化仕様だ。R35GT-Rのインジェクターおよびエアフロを流用して近代化を図りつつ、そこにニスモ最新のR3タービンをセット。ハイレスポンスな500psを作り上げている。
下回りの美しさも凄まじい。フロアパネルはもちろんサスメンバーやアーム類まで錆を落として再塗装されているため、完全に新車レベルの輝きなのだ。
「この32Rは平成元年式で、走行距離4万キロくらいの時にドラッグレース仕様へとリメイク。その後、レース中にクラッシュして長いこと放置されていた個体なんだ。もちろんフレーム修正機で新車の基準までボディアライメントを矯正しているから、安心して300キロオーバーで走れるよ!」とのこと。
内装も程度の良いパーツを使ってフルリフレッシュを敢行。シートは純正をウルトラスウェード生地で張り替えている。ステアリングやシフトブーツなどはトップシークレットのオリジナルモデルだ。
外装や内装のゴムモール類は劣化が酷いものは新品パーツに交換。機能するものはゴムをしなやかにするケミカルで再生済みだ。
「かなり拘って作ったから本当は売りたくないけど、そんなこと言ってたら貯まっていく一方だしね…。アフターフォローもするので、一生乗れるようなGT-Rを求めている人がいたら問い合わせてください!」とはスモーキー。
車両価格は税込み990万円。かなりの高額だが、現在の中古車相場と照らし合わせてみると、決して高くはない事に気づくはず。生涯を共にするBNR32を本気で探している人にとっては、迷っている暇はないだろう。
●取材協力:トップシークレット 千葉県千葉市花見川区三角町759-1 TEL:043-216-8808
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