「あなたはいくつ覚えていますか?」90年代に登場した新技術の数々を振り返る!Part.2

バブルが崩壊した、まさにその時代。クルマを取り巻く新技術は、バブル期の開発なので、その勢いはまだまだ慣性で動き続けていた。そんな平成初期、1990年代に誕生した、日本初や世界初といった新技術やアイテムなど、エポックメイキングなシステムや装備を見ていこう。

ホンダ

フル電動パワーステアリング(1990年)

パワステには、クランクの回転力を使ってオイルポンプを回し、その圧力によって作動する「油圧式」。オイルポンプをモーターで回してアシストする「電動油圧式」がある。「電動パワステ」は、1988年に軽自動車のセルボに搭載されたが、電磁クラッチが使われており、アシストが必要な低速走行時のみに作用するものだった。現在のクルマと同様の「フル制御電動パワステ」は、NSXの4速ATモデルに初搭載された。

オールアルミ製モノコックボディ(1991年)

従来のモノコックボディは、スチール系の鋼板で作られていた。それを、世界初となる軽量&高剛性のオールアルミ製として製作、採用したのがホンダのフラッグシップスポーツ「NSX」だ。ボディパネルだけでなく、構造部材までもがアルミ製。フルストリップのボディ重量は210kgと、鋼板ボディと比べて約140kgもの軽量化に成功している。

フルオープンモノコックボディ(1991年)

軽自動車枠の寸法中で、フルオープン、ミッドシップ、リヤドライブ、2シーターという要素を、妥協することなく全て取り入れた傑作。世界初のミッドシップ、フルオープンモノコックボディを採用した「BEAT」。フロアトンネルのボックス化や、サイドシルの二重構造等によって、軽量化と広い室内を確保しながら、高剛性ボディを実現している。

アコースティック・フィードバック・サウンドシステム(1996年)

1996年11月登場のプレリュードに搭載。リヤスピーカーに付属するマイクで出力された音をピックアップし、アンプにフィードバックして入力信号との差を検出。より原音に忠実な音を再現してくれる。車室内形状や素材による音響特性の乱れや、走行中のノイズなどによる周波数特性上の変動などを補正し、停車時同様の音量感を保ってくれるという、拘りの音響システムだ。

新EPS&VGR(1997年)

1997年9月登場のアコードとトルネオに与えられた、世界初のステアリング操舵システムだ。

新EPS(電動パワーステアリング)に加え、車速や操舵状態に応じたアシスト量をコンピュータが制御することで、滑らかで応答性の高いステアリングフィールを実現したVGR(可変ステアリングギアレシオ)を採用。ドライバビリティを格段に向上させた。

三菱

アクティブプレビューECSII(1992年)

1992年10月にフルモデルチェンジした、デボネアの最上級グレードに搭載されていた「アクティブプレビューECSII」。フロントバンパーに設置された超音波センサー(ソナー)によって、路面の凹凸状況を読み取り、エアサスペンションやダンパーの減衰力を自動で調整。快適な走行を実現させるという、贅を尽くしたハイテク機能だった。

FF車 5ATミッション(1995年)

FF車のオーマチックミッションは、古くは軽自動車の2速ATや、エントリーカーの3速ATが存在しており、当時は4速ATが最高段数のミッションだった。そんな中、1995年1月に登場したディアマンテ(F40)のDOHCエンジン搭載モデルが、FF車として初となる5速ATを搭載。多段数化によるスムーズな加速は、高級車ならではの快適性を提供してくれた。

GDIエンジン(1996年)

それまでのインジェクション車は、吸気ポート内にガソリンを噴射して、燃焼室に吸い込まれていくという構造。三菱が開発したGDI(Gasoline Direct injection)は、燃焼室内にガソリンを直接噴射することで省燃費&高出力を実現させた。ギャラン、レグナムのGDIエンジン搭載を皮切りに、トヨタ「D-4」、ホンダ「i-VTEC I」、ニッサン「NEO Di」などが追従した。

マニュアルモード付きAT(INVECS-II)

例えば4速AT車の場合、一般的にはシフトゲートには、「L(ロー)」「2(2速)」「D(ドライブ)」のセレクトが可能で、基本は「D」モードの走りとなるので、任意でのギヤ段数は選べない。新開発となるINVECS-II(M/C前4AT、M/C後5AT)は、シフトゲートが“H”状になっていて、外側のゲートでシフトを操作することで、任意のギヤ段数でドライブすることが可能となった。

マツダ

シーケンシャルツインターボ(1990年)

ユーノスコスモが搭載する20B-REWと13B-REWで初めて採用されたのが、量産車では世界初となるシーケンシャルツインターボ。これは2基の小型ターボチャージャーを備え、低回転域ではプライマリータービンのみ、中高回転域ではさらにセカンダリータービンも稼働させることで、全回転域におけるパワー&トルク特性とレスポンスの向上を図るものだ。

タービンは日立製でプライマリーにHT15、セカンダリーにHT12を使用。風量的にはほぼ同等だけど、低速域を担当するHT15は11枚のインパクト型ブレードでレスポンスを重視し、中高速域で稼働するHT12は9枚のハイフロー型ブレードで過給効率を高めるなど特性が変えられている。

GPS内臓カーナビゲーション(1990年)

今やどんなクルマでも当たり前の装備になったGPS方式のナビゲーションシステム。それを世界で初めて搭載したのがユーノスコスモの最上級グレード、20BタイプE CCS装着車だ。

当時、マツダでの呼称はGPSS(グローバル・ポジションニング・システム・ウィズ・サテライト)。車速や車輪速差、地磁気信号など実測データに頼った従来のナビシステムではマップ画面上と実際の車両位置に8パーセントもの誤差があったが、人工衛星からの電波で現在位置を知るGPSSでは、通常プラスマイナス50m以内に収まるという格段に高い精度を実現していた。

スバル

ADA<アクティブ・ドライビング・アシスト>(1992年)

世界で初めて実用化に成功した、ステレオ画像認識を用いたドライバー支援システム。「ADA」は、フロントウインドウ内側に設置した2台のCCDカメラを使って立体画像を解析。ステレオ画像認識で車両前方状況を認識し、カーナビから得られる各種道路情報や、ビークルダイナミクスコントロールからの走行状態と合わせて、車両の状況を判断。ドライバーへの警告や、車両制御を行なうシステムだ。

「あなたはいくつ覚えていますか?」90年代に登場した新技術の数々を振り返る!Part.1

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