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超頑丈なB型エンジン搭載のEK9はブッシュ類がウィークポイント!
適切なパーツセレクトで新車同様の切れ味が蘇る
平成9年に発売され、FFスポーツカーのイメージを決定づけたEK9シビックタイプR。フィットよりもコンパクトで軽いボディ、走りと実用性のバランス、リーズナブルなランニングコストなど、現代車にも勝る魅力をEK9は備えている。しかし、近年では中古車の流通台数の減少にともなって価格が高騰。低走行の極上車ともなると新車価格を上回るほどだ。
「実はB型エンジンはタフで、全開走行時に少しオイルが減る症状が出ることはあっても、よほど適当な管理をされていない限りは致命的な壊れ方はしないんです。中古車両を購入した際の優先度で言えば、足回りのブッシュやエンジンマウントなどのゴム系が先。走りに直結しますからね」と教えてくれたのは、“ホンダツインカム”の岡部さん。
前後にダブルウィッシュボーンサスペンションを採用するEK9は、ブッシュの数が多い反面、そのひとつひとつが小さい。また、FF車はアクセルのオン/オフ時にエンジンとミッションが大きく揺れるため、マウント類の劣化も激しいのだ。交換にはそれなりのコストが必要となるが、その効果は絶大で新車当時の走りを甦らせることができるという。なお、ホンダツインカムのお勧めは無限製だ。
FF車の宿命として、よく劣化しやすいのがドライブシャフトアウター側のブーツ。破れていることに気が付かないと、グリス漏れから等速ジョイント部分の劣化に繋がり、最終的に焼き付いてしまうことも。クルマをジャッキアップした時には定期的に点検しておこう。
写真はFFレイアウトの別の車種用のものではあるが、エンジンマウントの劣化も頻発するトラブルのひとつ。空ぶかしでエンジンが大きく振動するような場合は、どこかのエンジンマウントが切れている可能性が高い。
VTEC機構を含めて、稼働部の耐久性には優れるB16Bエンジン。ただ、劣化によってオイルを“喰う”症状が見られることはあるという。30分×3本の走行会を走って1.0Lオイルが減るなど、消費量が激しくなってきたらオーバーホールを検討したい。
B型エンジンにおいて最もオイル漏れを起こしやすいのが、ヘッドカバーパッキンとスプールバルブ部。全開走行後にオイルの匂いがするような場合は、ここからのオイル漏れを疑うべし。また、ヘッドカバーパッキンからのオイル漏れはプラグホール周辺で点火系に悪影響を及ぼす可能性も。
走行距離が10万kmオーバーの場合は、フューエルフィルターも交換しておきたいパート。汚れによって正しい流量、圧力が得られないと燃料ポンプに負担をかけ、燃調を狂わせる原因ともなってしまう。非分解式で内部のチェックはできないので、一定の距離を走ったら交換を心がけたい。
デスビのキャップも経年劣化によってトラブルが発生しやすいポイント。ボルト周辺にクラックが入りやすいのだ。クラックのみなら問題は無いのだが、最終的には固定が甘くなりデスビキャップの角度が変わって、点火時期がズレてしまう。フルに性能を発揮させるためにも、クラックを発見したら交換がお勧めだ。
エンジンに近い部分にあって、フルード漏れが起こりやすいのがブレーキマスターシリンダー。漏れたフルードはシリンダーから下方向に伝っていき、マスターバックの塗装を痛めてしまう。塗装の劣化が見えるようなら、マスターシリンダーのオーバーホールが必要だ。
大きな開口部を持つハッチバックボディだけに、リヤ回りの補強は効果抜群。早い段階からリヤタワーバーなどが装着されていた車両なら、ヤレによる内装のビビリ音などの発生もしづらい。
性能には直結しないことだが、ホンダ車は全体的に外装類のクリアが劣化しやすい。今回のサンプル車両は黒いボディだが、それでもルーフのクリアは白くぼやけてしまっていた。ボディカラーが赤だったりした場合は、この劣化がもっと急速に進行していくこととなる。
EK9シビックタイプRの走りを100%楽しみたいなら、新車以上のハンドリング性能を取り戻すことが最大の鍵となる。メンテナンスを兼ねたリフレッシュチューニングで、タイプRを駆る喜びを味わおう。
●取材協力:ホンダツインカム杉並店 東京都杉並区成田西2-21-18 TEL:03-5347-7001
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