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コンセプトは“BNR32の魅力を引き出す”メイキング!
気負わず楽しめる走行会仕様の作り方
ドラッグからサーキットアタック、そしてストリートでの快適性まで第二世代GT-Rが持つ可能性を多角的に追求しているのが、九州エリアで活躍する“車工房ディサイド”。
これまでに様々な名チューンドを手掛けてきた同社だが、今回紹介するのは細部まで入念に仕上げたデモカーではなく、ストリートメインでBNR32の魅力を満喫することをコンセプトに製作されたユーザーカーだ。
心臓部のRB26DETTは、ボア87φ×ストローク77.7mmのプロフィールを有するHKSの2.8Lキットステップ2を組み込んで排気量を2771ccまで拡大。ヘッドもフル加工を施した上、トルク特性の改善を狙ってVカム(可変バルタイ機構)を投入。RB26の“線の細さ”を完全に消し去ったのだ。
ストリートにおいて扱いやすさを左右するのは低中回転のトルク。タービンをサイズアップしていくと排気量アップだけでカバーしきれないが、Vカムの投入で適切にバルタイ制御してやれば、車重を感じないトルク太さを手に入れられる。
組み合わせるタービンは、ウエストゲート式のTO4Z。F-CON VプロとEVCによる綿密なマネージメントにより、最高出力は650ps&80kgmに達している。また、徹底した遮熱処理やフレッシュエアを供給する吸気環境といった部分への拘りも見逃せない。
足回りは、ハイグリップラジアルでもSタイヤでもコントローラブルに扱えるようセットアップしたハイパーマックスIIIスーパースポーツ。バネレートはフロント14kg/mmのリヤ12kg/mmで、ダイレクトなハンドリング性能と、快適性も損なわないまましっかりとストロークさせて粘る味付けだ。
ストリート仕様でもグリップレベルに拘る場合は265サイズ以上が当たり前になっているが、この車両はあえて255サイズをチョイスしている。扱いやすさはもちろん、ロールケージ以外に補強していないボディへの負担まで考えてのマッチングだ。
ミッションはRB26改2.8Lの性能をフル発揮させる事を目的に、BNR34用ゲトラグを流用して6速化。パワーバンドを外さない環境を整えている。
ストリート仕様のユーザーカーだが、サーキット走行を想定してコレクタータンクをトランクルーム内にセット。高出力をいかに安定発揮させるかが、ディサイド流チューニングのキモなのだ。
空力チューンはルックス面で与えたリップスポイラーと、ダクト付きボンネット程度。車重は1450kgと重く、ダウンフォースも積極的に確保しているわけではないが、エンジンとシャシーのバランスを高次元で整えることで速さを引き出している。
目を三角にしてトップタイムを狙うのではなく、気負わずにスポーツ走行を楽しむためのハイスペック。ストリートをメインとするBNR32ユーザーにお手本としてもらいたい1台だ。
●取材協力:車工房ディサイド 福岡県行橋市二塚104-1 TEL:0930-24-2666
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