

2025年10月の第3土曜日に、それまでの『No.117 日産 エクストレイル』に代わって『トミカ』に加わったのが『No.117 スズキ スーパーキャリイ』です。
スズキ・キャリィは、1961年に登場したスズライト キャリィを祖先とし、以後、軽商用車(軽トラック/軽バン)の定番モデルとして60年以上の歴史を積み重ねてきた車種です。登場当初から小回り性能や整備性、経済性などが評価され、農業、工事現場、宅配・小口配送など、日本の産業や生活の現場を支える存在として発展してきました。長年にわたり改良とモデルチェンジが繰り返され、軽トラック市場におけるロングセラーの代表格といえる存在です。
11代目にあたる現行型キャリィ(DA16T型)は、2013年にデビューしました。従来モデルの使いやすさを継承しつつ、荷台の長さや床面の低さなど、実用性をさらに磨き上げた設計が特徴です。例えば荷台床面は地上から650mmと低く設定され、重い荷物の積み下ろしが容易になっています。錆び対策としてボディや荷台の各部に防錆鋼板を使用し、長期使用に耐える耐久性も確保されています。また、R06A型エンジンの採用により、軽トラックに求められる扱いやすさと信頼性を両立しています。


2018年、このキャリィをベースに追加設定されたのが、室内空間の快適性と安全性を強化した派生モデルのスーパーキャリィです。キャビン後方を拡大し、リクライニング機構とハイルーフ仕様を採用するなど、従来の軽トラックにはない居住性を重視した設計が特徴です。加えて、前後誤発進抑制機能の標準装備化によって、安全面も同クラスで先駆けとなる仕様が与えられました。
外観上の最大の違いは、キャビンを後方へ460mm拡大した点にあります。これにより全高はキャリィより120mm高い1885mmとなり、全車ハイルーフ仕様となりました。頭上空間に余裕が生まれたため、全車にオーバーヘッドシェルフが備えられるなど、収納力と快適性が高められています。キャビン後部には高さ920mm×幅1235mm×長さ250mmのスペースが確保され、工具や作業服などを収納できるシートバックスペースとして活用できます。助手席は前倒し可能で、背面にはテーブル機能が備わっており、移動先での休憩や軽作業などにも対応可能です。さらに、キャビン拡大によって荷台が短くなるのを避けるため、キャビン下部を抉るような独自レイアウトを採用し、荷台床面をキャビン下にまで延長。結果として荷台自体の長さは1480mmながら、荷台床面長は1975mmを確保し、脚立や農機具などの長尺物も積載しやすくしています。
インテリアは、従来の軽トラックでは考えられなかった“ドライバーの姿勢”と“快適性”に踏み込んだ設計となっています。運転席は最大40度、助手席は最大24度のリクライニングが可能で、スライド量も運転席で180mm、助手席で100mmと、長時間運転時の疲労軽減に貢献します。先述したオーバーヘッドシェルフやシートバックスペースの収納ポケットなど、限られた空間を効率的に活用する工夫が随所に見られ、また、助手席背面のテーブル機能も実用性が高く、書類作成や軽作業の場として重宝します。
パワーユニットには、キャリィと共通のR06A型 660cc直列3気筒DOHC自然吸気エンジンを搭載。軽トラックとして十分な実用性能を発揮します。駆動方式は後輪駆動(2WD)と4WDの2種類が設定され、トランスミッションも5速MT、4速ATから選択可能です。かつてはこれに加え、MTの構造をベースとしながら自動変速を行なう、クラッチ操作が不要な5速AGSというトランスミッションも存在していました。
使い勝手の面では、先述の様々な工夫や設計により、軽トラックの枠を超えた居住性を持つ点がスーパーキャリィ最大の特徴です。荷台容量そのものは標準キャリィや他社の積載重視モデルと比べてやや劣る部分もありますが、それを補って余りある快適性があり、農業や工事現場だけでなく、キャンピングカーのベース車や移動販売車など、新しい使い方にも対応するポテンシャルを持っています。また、安全装備面では、軽トラックとして初めて前後の誤発進抑制機能を標準化。障害物を検知して急発進や衝突を防ぐ機能を備えます。これにより、狭い場所での取り回しや高齢者ドライバーの誤操作による事故防止にも貢献しています。

このようにスーパーキャリィは、キャリィの基本性能と信頼性をベースに、キャビン空間・快適性・安全性を大幅に高めた派生モデルとして、軽トラックの新たな可能性を提示する存在となっています。
『トミカ』に加わった『No.117 スズキ スーパーキャリイ』は、従来の軽トラックにはなかったユニークなスタイリングを上手く再現したものになっています。スーパーキャリィにはXとLの2種類のグレードと、それぞれに駆動方式とトランスミッションの違いがありますが、さすがに『トミカ』ではそこまで細かな違いはわかりません。フロントのフォグランプの表現があり、アングルポストプロテクターの表現が見当たらないことから、おそらくXグレードを再現しているのではないかと思われます。ちょっと面白い軽トラとして、今、注目を集めているスーパーキャリィを、あなたのコレクションに加えられてはいかがでしょう?
■スズキ スーパーキャリィ Xグレード(2WD/5MT) 主要諸元(『トミカ』のモデル車両と同一ではありません)
全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1885
ホイールベース(mm):1905
トレッド(前/後・mm) :1305/1290
車両重量(kg):790
エンジン形式:R06A型直列3気筒DOHC
排気量(cc):658
最高出力:37kW(50ps)/6200rpm
最大トルク:59Nm(6.0kgm)/3500rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション(前/後):ストラット/リーフスプリング
ブレーキ(前/後) :ディスク/ドラム
タイヤ:(前後) 145/80R12 80/78N LT
■毎月第3土曜日はトミカの日!

毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2025年10月の第3土曜日には、上でお伝えしているように、それまでの『No.117 日産 エクストレイル』に代わって『No.117 スズキ スーパーキャリイ』が登場します。また、それまでの『No.17 いすゞ エルフ 軌陸車』に代わって『No.17 トヨタ ランドクルーザー 250』が登場します。なお、『No.17 トヨタ ランドクルーザー 250』には初回のみの特別仕様(特別色)もあります。









